「梅に鶯」ならぬ、猫ちゃん! 風流すぎる「飛び込み」に最優秀賞を差し上げたい
梅に鶯、紅葉に鹿、牡丹に唐獅子、竹に虎――。美しく調和する、2つのものの絵になる取り合わせの例である。
その中に仲間入りさせたくなるような光景が、ツイッター上で注目を集めた。
黒い台座の上には、白く小さな花を咲かせる盆栽。脇に「三渓園賞」という札が添えられているのだが......その後ろには気持ちよさそうに眠るネコちゃんが! まるで「もともとこういうレイアウトなんですよ」とでも言わんばかりのなじみっぷり。ネコちゃんこそが「三渓園賞」の受賞者であるかのようだ。
この写真はツイッターユーザーの弥 生 大 可 寒 (マールス・カガン)(@kimovoticus)さんが2023年2月13日に投稿したもの。
古くから梅の名所として知られる日本庭園の一つ「三渓園」(神奈川県横浜市)で12日~19日に行われていた「第21回観梅展示会」での一幕だという。
一体どんな経緯で撮られたものなのだろう。Jタウンネット記者は15日、投稿者の弥生大可寒さんに話を聞いた。
盆栽には「飛び込み」という言葉があって...
弥生大可寒さんは13日、「三溪園皐月会」の会員として展示会のスタッフをしていた。バックヤードに控えているとき、来園者が「猫がいる!」と笑っていることに気付いたそう。
そこで様子を見に行って目撃したのが、写真の光景だった。
弥生大可寒さんによると、この日の昼頃は雨が強く降っており、気温もかなり低めだった。そのため猫は雨宿りをしていたのではないか、とのことだ。
「梅と猫という組み合わせが人里ののどかな風景を感じさせて風情があると思いました。(Twitterに投稿したらこれはバズるかもという気持ちもありましたが、まさかここまでとは......)」(弥生大可寒さん)
ところで、弥生大可寒さんは写真に「三溪園賞の席に野良猫が飛び込みで添えられてて草」というつぶやきを添えていた。これには、盆栽ならではの意味が込められているという。
「盆栽には『添配』という場景を想起させるために鉢に添える置物があり、たまたま生えてきた植物を生かして作品の一部にする『飛び込み』という言葉があります。
まさしく猫が天然かつ偶然『飛び込んで』きた『添配』になっているなと思いました」(カガンさん)
撮影後もお客さんやスタッフで「作品」を眺めて楽しみ、その間も猫は暴れることはなかったそう。猫は展示が終わる際に、弥生大可寒さんによってそっと逃がされたとのことだ。
偶然生まれた梅と猫による風情ある光景に、ツイッターでは1万3000件以上のリツイート、4万件を超える「いいね」(17日昼時点)のほか、こんな声が寄せられていた。
「猫が添えられているという表現が素敵です」
「水墨画で描いてみたい光景ですね(笑)」
「これもまた風流」