「ラッシュタイムに貧血で倒れ、電車を止めてしまった。『責められる!』と不安で体が動かなくなって...」(静岡県・30代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Dさん(静岡県・30代女性)
10年以上前のその日、Dさんは入社式に向かっていた。
しかし、目的地直前でいきなり腹痛に襲われ、ついには気絶して倒れてしまい......。
<Dさんの体験談>
社会人になった日のことです。学生時代から利用している乗り慣れた路線の電車で、私は入社式に向かっていました。
たった7分の乗車時間。通勤通学の時間帯だったので、立って揺られていました。すると目的地最寄りの駅に着く少し前、突然腹痛に襲われたんです。
目の前が真っ暗になった
初めてのリクルートスーツを着て緊張していたせいか、腹痛に加えて冷や汗も出てきました。しかし、電車内は座りたくても座れない状態。「あと3分耐えればホームに到着する」と思って耐えていたことをすごく鮮明に覚えています。
ですが、そのたった3分が耐えられませんでした。不意に目の前が真っ暗になり、耳も聞こえない状態になったのです。電車の音すら聞こえません。
自分が立っているのかも分からなくなり、おそらく一瞬気を失いました。倒れて床に頭が当たった衝撃で我に返るものの、「あれ? 今どんな状況?」と全く現状が把握できません。意識はあり、耳も聞こえるようにはなりましたが、視界はボヤボヤして頭が回りませんでした。
そんな私を見て、周りにいた方が「リクルートスーツじゃない? これから入社式じゃない?」と心配していましたが、みんなどうしていいか分からずシーンとしていたと思います。
その時、乗り合わせていた女子高生が、私に声をかけてきました。
「踏まれちゃうかもしれないので動かないでください!」
「お姉さん! どうしましたか!? 何してほしいですか!? 大丈夫ですか!?」
彼女はずっとそう声をかけてくれましたが、私は満足に返事も出せませんでした。
「床に頭打ってます!」
ボヤボヤした視界から見た限り、地元の私立高校の制服を着た女子高生と、バレー部かバスケ部のジャージを着ている女子高生数人が必死に対応してくれていました。
やがてホームに到着すると、すぐに近くにいたであろう男性も電車から降りて「駅員さん!!!」と叫んでいました。
すぐに駅員さんがやってきて、周りの乗客やこれから乗ろうとしている人達に動かないように伝えました。ホーム、車内のアナウンスでも「具合の悪くなった人がいる為遅れます」的なことが流れていました。
私は「責められる!」という不安で体が動きませんでしたが、そんな心配は要らなかったようで、みなさんは私のことを心配してくれていました。
すぐに救急隊も来て、倒れた瞬間を見ていたらしい女子高生が「床に頭打ってます!」と救急隊に伝えていました。その後、運ばれた病院で貧血の診断を受けました。貧血なんて無縁だったので、何が自分に起こったのかわからず、診断されるまで不安でした。
女子高生のおかげで少し落ち着くこともでき、頭を打ったと伝えてもらっていたので、検査もスムーズに出来ました。彼女や必死に叫んでくれた男性には本当に感謝しています。
周りの方も怒らず私が降ろさせるのを待っていてくれてありがとうと思いました。大人達が騒然としている中、女子高生の行動で周りが一つになっていた気がしました。
服装しか記憶にありませんが、たまにあの時の女子高生のことを思い出します。当時もとても感謝していましたが、なぜ高校が分かっていたのにお礼を言えなかったのだろうと後悔しています。
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