シーサーには「覚醒の儀式」が必要? 衝撃の事実にネット驚愕、沖縄県職員も「聞いたことない」→風習が消えてしまった理由とは
2023.03.16 20:00
「50年前は当たり前に行われていた」
比嘉さんは忘れられつつある「沖縄の家庭の風習」や、歴史の流れの中で失われていった沖縄の文化などを残すために、作家としてそれらを題材にした本を執筆している。
今から50年以上前、比嘉さんがまだ子供だった頃。沖縄には赤瓦の家が多く、定期的に「ムーチーヤー」と呼ばれる漆喰職人が屋根の修理を行なっていたという。
「その頃のシーサーは屋根に1匹設置するのが普通で、門に設置する事は珍しかったです。そもそもシーサーというのは『火伏せ』(火事を防ぐ魔除け)の役割を持っていて、火災などの災いが多発する『ヒーザン(火山)』など、いわくのある場所に向ける形で高い所に設置するものでした」(比嘉さん)
そして、新築工事や屋根の修理の際にシーサーを設置する時に、大工やムーチーヤーの棟梁がその家の当主に「覚醒」の儀式を行うように指示していたそうだ。
「民俗学を専門に学んでいないのでいつ頃から『覚醒』の儀式が行われていたのかは知りませんが、50年前は当たり前に行われていたことです。ただ、今ではほとんどの沖縄の人に知られておらず、儀式を知る人はかなりの高齢の方だと思います」(比嘉さん)
「覚醒」の儀式が見られなくなっていったのは、1972年の沖縄の本土復帰以降だという。
「家の形式が台風に強いコンクリート家屋になっていったことや、日本本土の狛犬のようなシーサーが増えたことによるものと考えております」
と比嘉さんは自身の仮説を述べた。