「産休前日まで毎日1時間の電車通勤。ピーク時なのにいつも座れていたのには、思いもよらない『理由』があって...」(東京都・40代女性)
シリーズ読者投稿~忘れられない「あの人」と~ 投稿者:Aさん(東京都・40代女性)
Aさんは第2子を妊娠中、毎日1時間かけて通勤していた。
フルタイム勤務で、帰宅するのは1日で1番電車が混雑する時間帯。しかし、彼女は必ず、同じ席に座れていたのだという。
<Aさんの体験談>
第二子を妊娠中、産休に入るまでの間は毎日電車で1時間ほどかけて通勤をし、フルタイムの仕事をしていました。
仕事の引き継ぎと、まだ乳児だった上の子のお世話で頭も心もいっぱい。余裕がない自分を悟られて周りに気を使わせてはいけないと思い、とにかく元気を装う日々の中で、唯一ホッと息をつけたのは、帰りの電車に乗っている時間でした。
帰りの電車は1日で1番混雑する時間帯にも関わらず、何故か毎日、同じ車両、同じ時間にある座席が空き、座ることができたからです。
なぜか空いている座席、その理由は...
いよいよ産休に入る前日、会社の非常階段で自分にガッツポーズをして帰った私は、いつもの車両でいつもの座席に座ろうとして気づきました。
それまでは自分のことであまりに精一杯で、ぼんやりとしか意識していなかったけど、いつも同じ人が席を譲ってくれていたのです。
初老の男性で、私が乗った駅の、一駅先で降りる方でした。
それに気づいた瞬間、これまでの日々が急にフラッシュバックして、「もしかしたら席を取っておいてくださったのかも」と、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。明日から急に乗車しなくなったら心配をかけてしまうかもしれない。
そう思った私は、勇気を振り絞って「明日から産休に入リます。今までありがとうございました!」と声をかけました。
するとその方は、「いいんだよ、元気な赤ちゃんをね」とにっこり微笑んでくださいました。
知らず知らずの間に積もっていた辛さや苦しさが、ふと緩んだ体験でした。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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