福井の踏切は「カンカン」...ではなく「ジャンジャン」鳴るらしい
踏切の警報音は、どんな音か。
そう聞かれたらきっと多くの人が「カンカン」と答えるだろう。しかし福井では、そうではないらしい。
こちらは福井市にある、えちぜん鉄道三国芦原線の鷲塚針原駅で撮影した1枚。構内にある看板なのだが、そこには見慣れない擬音が書かれている。
「警報音 \ジャン/\ジャン/ がなったらわたらないでください」
......警報音が「ジャンジャン」だと? もしかして、ほかの地域と音が違うということなのか。
記者は音が鳴るまで駅で待ってみることにした。
踏切の音は...
うーん、特に変わった音ではない。擬音で表現するなら、やはり「カンカン」である。
これがどうして「ジャンジャン」になるの? 2022年2月8日、Jタウンネット記者はえちぜん鉄道営業開発部の担当者に話を聞いたが、看板自体はかなり昔から存在していて、明確な理由は不明だという。ただ、考えられる理由のひとつとしてあるのが、
「警報音が電子音になる前、鐘で鳴らしていた音が『ジャンジャン』に聞こえていたのではないか」
というものだ。
「ジャンジャン」の看板は、構内に踏切がある鷲塚針原駅や永平寺口駅、あわら湯のまち駅といった駅に掲げられている。
そして、このなんとも不思議な擬音は、えちぜん鉄道特有のものではない。福井県内を走る別の鉄道会社でも使われているらしい。
記者は、福井鉄道の赤十字前駅に向かった。
「カンカン」だと面白くないから...
やはり「ジャンジャン」と表現されていた。念のため、赤十字前駅の警報音も確認してみた。
鷲塚針原駅と比べると鐘っぽく、「カンカン」度はより高い。記者は福井鉄道にも、なぜ「ジャンジャン」という擬音を使うのか尋ねてみた。
鉄道営業部の担当者によると、看板の設置は1965年ごろ。駅構内に踏切を設置するにあたって、注意喚起の看板も取り付けることになった。その際、当時の社員が「普通ならカンカンと書くけど、それだと面白くない」と言い出し「ジャンジャン」が使われたのだという。
また、ジャンジャンという表現は「おそらく福井鉄道が先に使い始めた」。どこかのタイミングで京福電気鉄道(現在のえちぜん鉄道)に共有されたのではないか、と担当者は推測している。
なお、福井鉄道の「ジャンジャン」の注意喚起は、今では赤十字前駅にしか残っていない。
それでも22年12月17日に放送された福井テレビの番組「なんだー?ワンダー!」で取り上げられたことで話題に。同社ではその波に乗って、看板のキーホルダーの販売を予定している。
(2023年5月2日編集部追記:あわら湯のまち駅の看板写真を追加しました)