おじさんのお通夜に行ったら、一族総出で「見知らぬ男」をもてなしてた話
シリーズ読者投稿~忘れられない「あの人」と~ 投稿者:Sさん(静岡県・50代女性)
伯父の通夜に参列したら、親族が総出で見知らぬ男性を甲斐甲斐しく世話していた――Sさんは20年ほど前、そんな不思議な体験をした。
この男は一体、誰なのか。困惑する彼女にその「正体」を語ったのは、故人とそっくりな顔をした弟だった。
<Sさんの体験談>
20年ほど前、静岡県富士市に住んでいる伯父(母の姉の夫)が亡くなりました。
私は通夜に参列するため、東京から富士へ。
会場につくと、何故か見知らぬ男の人が並べられた椅子に横になっています。そしてその人を親族が取り囲み......。
鹿児島からやってきた男たち
「運転手さん、お茶をどうぞ」
「運転手さん、毛布使ってください」
親族たちはそんなことをいって、男性をもてなしています。
どういう状況なのか私が飲み込めずにいると、亡くなった伯父にそっくりな顔をした弟さんが事の顛末を話してくれました。
亡くなった伯父は鹿児島県の出身でした。弟さんも鹿児島に住んでいて、一人暮らしで足が悪く、近所の人に助けられながら普段の生活を送っていたそうです。
そんな中、兄が亡くなったという報せが届きました。
ずっと会っていなかった兄の葬儀に、是非とも参列したい。しかし、飛行機を予約したとしても、空港までは誰かに送ってもらうとして、着いた先の空港から葬儀会場まではどうしたらいいのか。
帰りのことも心配だし、とはいえ葬儀の準備で忙しい兄の家族の手を煩わせるのも申し訳ない。
悩んだ弟さんは、知り合いのマイクロバスの運転手さんに相談したそうです。
弟は泣きながら祭壇に...
すると、その運転手さんが会社のバスを借りて富士まで送ることを提案してくれたのです。
通夜は次の日なので、運転手さんのその日の仕事が終わった夜に出発。仕事の後の疲れた身体のまま夜通し運転し、途中のトイレ休憩などは介助もしながら無事通夜の会場まで送り届けてくれたのでした。
私が着いたときは、親戚の皆で運転手さんに感謝し、夜通し運転して眠いだろうからとイスで横になってもらっていたところだったのです。
弟さんは泣きながら
「運転手さんのおかげで兄さんの葬儀に来ることができました。ありがとうございます」
と、祭壇に報告していました。
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