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「争いをやめよ、とお花が申しておる」 熊本で「あの武将たち」が復活!リーダー・加藤清正公が語る「現代における使命」

大山 雄也

大山 雄也

2022.12.07 08:00
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かつて戦乱の世を駆け抜けた武将隊たちが、令和の世で新たな活躍を見せている。

どんな活動をしているのか、まずはその一部を見てみよう。

熊本市の観光ポスター(画像はしわす@khz48さんのツイートより)
熊本市の観光ポスター(画像はしわす@khz48さんのツイートより)

こちらはツイッターユーザーのしわす(@khz48)さんが2022年10月16日に投稿した写真で、熊本市の観光ポスターを写したものだ。美しい菜の花畑の中に、甲冑を着た武将たちがいる。そして、こんな言葉が書かれている。

「争いをやめよと、お花が申しておる」

......おいおい、武将のわりに随分とかわいいこと言うじゃないか。しかも、このセリフ誰が言ったかと思えば、初代小倉藩主・細川忠興。あの織田信長・豊臣秀吉・徳川家康らの有力者に仕えて武功を挙げ、死去の際には「皆どもが忠義 戦場が恋しきぞ いづれも稀な者どもぞ」という言葉を残したという人物だ。

どうして忠興のような勇猛な武将が、こんな穏やかなセリフを――そう思う人もいるだろう。しかし、これが彼の今の活躍の舞台である「熊本城おもてなし武将隊」の仕事なのだ。

現代でのショッピングもエンジョイ

熊本城おもてなし武将隊は、2012年に結成した「武士集団」だという。この年、熊本市の政令指定都市移行10周年、熊本城を築城した加藤清正の生誕450周年を迎えたことを機に、九州の名だたる武将、家臣、姫たちが現代によみがえり、「初陣」を迎えた。

現メンバーは加藤清正を筆頭に、宇土城主で清正とはライバルだった小西行長、「薩摩の鬼」の異名を持つ武将・島津義弘、清正の上司である黒田官兵衛、清正との親交が深かった大村喜前、清正の家臣・南条元清、清正の次女・八十姫、細川家筆頭家老・松井興長、そして細川忠興の9人。熊本城で行われる1日2回のステージ、観光客へのおもてなし活動などを通じて「日ノ本」や熊本を盛り上げるべく奮闘しているという。

熊本城おもてなし武将隊のメンバー(C) 熊本城おもてなし武将隊
熊本城おもてなし武将隊のメンバー(C) 熊本城おもてなし武将隊

そして、先の熊本市の観光ポスターも彼らの仕事の1つ。菜の花と観覧車が印象的な熊本市動植物園で笑顔を輝かせているだけでなく、熊本ファッション通りで買い物を楽しんだり江津湖のスワンボートで遊んだりする姿などが使われている。

熊本市の観光ポスター(画像はしわす@khz48さんのツイートより)
熊本市の観光ポスター(画像はしわす@khz48さんのツイートより)

いくら熊本のためと言っても、現代を謳歌しすぎでは......? いや、ひょっとしたらPR活動のためにかなりの無理を強いられているのかもしれない。

勝手ながら心配になってしまったJタウンネット記者が熊本城おもてなし武将隊に取材を申し込むと、なんと加藤清正公が直々に応じてくれた。

情報化社会も駆け抜ける!

清正公はポスターの仕事について、無理をして体を張ったわけではなく「人々の脳裏に焼きつかせるため、シュールさを狙った」と説明する。戦国武将がそんなものを狙うなんて、どうしてなのか。清正公はこう語る。

「余は、『熊本城おもてなし武将隊』が皆が歴史を知る入り口になればよいと思っておる。歴史はとっつきにくいから、ハードルを低くするというかの」
加藤清正公(画像は熊本城おもてなし武将隊@kumajyobushotaiのツイートより)
加藤清正公(画像は熊本城おもてなし武将隊@kumajyobushotaiのツイートより)

蘇った武将たちは10年近い活動でかなり「現世に感化されている」そうで、歴史に興味を持ってもらうため、 ポスターに限らず今の時代にフィットしたやり方を模索している。

「情報はいつの時代でも大事でござる。余の時代は矢文や飛脚しかなかったが、今では検索1つでなんでも出てくる。スマホも最初は戸惑ったが、これは味方につけるほかない代物であろう。最近では人並みにSNSも使えるようになった。カメラ慣れもしておるぞ」

と清正公。スマホを使うだけでなく、「日立 世界・ふしぎ発見!」(TBS系)といったテレビ出演までこなし、情報化社会にすっかり適応しているのだ。

また熊本城おもてなし武将隊はネットやテレビだけでなく、現代人と直接触れ合うイベントや行事も大切にしている。例えば清正公は、11月11日から3日間にわたるツアー「熊本城おもてなし武将隊加藤清正公とめぐる!みちのく福島・会津3日間」に参加。鶴ヶ城では演舞を披露したという。また、20日には名古屋で行われた「サムライ・ニンジャフェスティバル2022」に細川忠興、黒田官兵衛、南条元清が参加するなど、県外でも精力的に活動し、「日ノ本」を盛り上げようと頑張っている。

未来の子供たちのために

熊本城おもてなし武将隊として各地で活躍する清正公は、信念をもってその活動に取り組んでいる。大事にしているのは「おもてなしの心」だ。

「繰り返し観光に来てもらうためにはその土地にある輝かしいものを楽しめたかどうかだけでなく、そこに生活している人に『どうもてなされたか』も重要であろう。熊本を訪れた人に『また来たい』と思ってもらえるように、おもてなしをしたいのでござる」
演舞を披露する武将たち (C)熊本城おもてなし武将隊
演舞を披露する武将たち (C)熊本城おもてなし武将隊

また、他県から来る人たちのためだけではなく、熊本に住む人たちのための活動も欠かさない。学校にも「出陣」し、教育にも携わっているという。

「歴史を後世に伝えるのも大事でござる。今の子供たちが大人になった時に故郷に誇りを感じてもらいたいのじゃ」(清正公)

おもてなし、PR、教育――かつては戦や政治に全力を注いでいた武将たちは、現代では全く違う生活を送っている。しかし、ゆかりのある地域のため心血を注いでいることに変わりはない。

熊本城おもてなし武将隊は「日ノ本」や熊本を盛り上げようと、今日もどこかで戦っている。

2022年12月7日14時20分編集部追記:記事初出時、おもてなし武将隊のメンバー・松井興長についての記載が誤っていたため、修正しました。

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