「商談の必需品を持たずに出張に来てしまった私。付近を探し回っていると、行商人にまさかの場所に案内され...」(兵庫県・60代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Kさん(兵庫県・60代男性)
ネクタイを忘れた――!
30年ほど前、四国に出張に行ったKさんは、大事な商談が始まる直前にそのことに気付いた。
当時は「ノーネクタイなんてとんでもない」という時代。どうにかして手に入れようと、洋品店の閉まったシャッターを叩いていると......。
<Kさんの体験談>
今から30年ほど前、出張で四国のある町に行きました。まだ瀬戸大橋などなかったので、交通手段は夜行フェリーと電車の乗り継ぎ。
夏の暑い日でした。駅前の喫茶店でコーヒーを飲み、さあ行こうかと思ったところで私は自分がネクタイを締めていないことに気が付いたのです。
店はどこも閉まっていて...
あまりに暑かったのでネクタイをせずに家を出てしまったのでした。
今なら夏場はクールビズでノーネクタイでもOKですが、当時は「ノーネクタイなどとんでもない」という時代。私は途方に暮れてしまいました。
近くのデパートは10時開店ですので、とても間に合いません。
そこで駅近くの商店街に行きましたが、あいにく水曜日は休業だったようでどこも開いていません。
やっと見つけた洋品店のシャッターを叩きましたが、誰も出ていらっしゃいませんでした。
どうしたものかと頭を抱えていると
「にいちゃん、何しとる?」
とたまたま通りかかった行商のおばさんが声をかけてくれました。
「一番派手なやつを持ってきたで」
私が事情を説明すると、「よっしゃ、ついておいで!」と連れて行ってくださった先は何とおばさんのご自宅!
「お父ちゃんのネクタイで一番派手なやつを持ってきたで、これ使い」
と、ネクタイを貸していただきました。
おかげで無事に商談を終えることができ、お礼にうかがうと「困ったときはお互いさんや」と大きな声で励ましてくれました。
あれから30年、場所も忘れてしまいましたが もしまたお会い出来たらもう一度お礼を言いたいです。
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