直進すれば苫小牧、左折すれば博多 極端すぎる「案内標識」が福井に存在した
目的地や通過地の方向・距離を示してくれて、運転する際に大いに役立つ「案内標識」。
そこに書かれている地名というと、例えば筆者が住む埼玉・白岡市にあるものなら「春日部」「久喜」といった設置されている場所の近隣市町村などが書かれている場合が多いだろう。
ところが、日本全国を見渡せば案内標識に書かれた地名が極端に離れている場所もあって......。
2022年7月23日、ツイッターユーザーの滝原 渡(Takihara Wataru)(@cluesign)さんが投稿した標識には、直進で「苫小牧」、左折で「博多」と書かれている。
なんと、1枚の標識に、北海道と福岡のかけ離れた地名が。いくらなんでも遠過ぎじゃない?
ツイッターでは滝原さんの投稿が注目を集め、
「ワクワクする標識だなぁ 」
「もう人生の分岐路レベル 」
「なんというロマン 」
といった反応が寄せられた。この標識は一体、何なのだろうか。
なぜこんな標識が出来たの?
苫小牧と博多。遠く離れた地名が同居する標識は、福井・敦賀にある。
標識が設置されている敦賀からは苫小牧と博多、どちらとも遠い。それでもこの標識が設置されているのは、「RORO船」の存在があるからだ。
RORO船とは、貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま運べる船のこと。敦賀港からは、近海郵船(東京都港区)が苫小牧港、博多港それぞれにRORO船を運行している。
そう、あの標識はRORO船の乗り場がどこにあるかを示しているのだ。
Jタウンネット記者が28日、近海郵船の総務部担当者に話を聞いたところ、同じ敦賀港でも苫小牧港と博多港に出るRORO船の岸壁が車で5分ほど離れているため、標識を設置しているのだという。
また、標識には元々「RORO船のりば」としか書かれておらず、行き先の表示はなかった。それが19年、従来から運行していた苫小牧港行きの航路に加え、博多港への運行を始めたため、地名を追加した標識を新たに設置。北海道と福岡の地名が書かれた標識が誕生した。
大切な荷物を運んでくれるドライバーのための道標――遠く離れた地名が書かれた珍しい標識は重要な役目を担っているのだ。