「豪雨の中、病院から追い出された私。ずぶ濡れになりながら、生後間もない我が子と始発のバスを待っていると...」(都道府県年齢不明・女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Tさん(都道府県年齢不明・女性)
34年前のその日、深夜に容体が悪くなった夫を病院に送るため、Tさんは生まれたばかりの娘を抱えてタクシーに乗り込んだ。
しかし、夫を送り届けたあとは、豪雨にも関わらず病院から追い出されてしまい......。
<Tさんの体験談>
34年前の豪雨の日、深夜に主人が激痛を訴え、急遽病院へ行くことになりました。
小学校に上がったばかりの娘と息子は眠っていたので置手紙を残し、私は生まれたばかりの次女を抱いて夫とタクシーへ。
夫はそのまま入院となりましたが、私と娘は病院から「付き添いは出来ないから帰れ」と言われてしまったんです。
「どうぞ乗ってください」
バスもタクシーも来ない状態だからなんとか始発までは居させてほしいとお願いしたのですが、結局、病院から薄暗い外へと追い出されてしまいました。
しかたないので、豪雨の中、傘も持たずになかなか来ない始発のバスをただひたすら生まれたばかりの我が子と待ちます。
そうして、どれくらい待った頃でしょうか。1人の女性がバス停に車を停めて
「どうぞ乗ってください」
と声をかけてくださったのです。急なことで困惑していると「娘からお願いされたんです」と彼女が言いました。
どうやら、私たちがバスを待っている様子を娘さんが見ていたらしいのです。彼女は仕事に急いでいたので母親に車で駅まで送っていってもらっていたのですが、その時に
「バス停に小さい赤ちゃんを連れた人がいたから、帰りにまだバスを待っていたら乗せてあげて欲しい」
と母親......つまり、私たちに声をかけてくれた女性に頼んでくれたそう。
「あのまま豪雨の中バスを待ち続けていたら......」
そして、女性はずぶ濡れになった私たちを車に乗せてくださいました。
優しさが本当にありがたく、その時は涙が止まりませんでした。結局自宅まで送ってくださり、お名前と住所を伺おうとしたのですが、彼女は
「いつかあなたも同じようなことがあったらその方にしてあげてください」
とだけ仰いました。
あのまま豪雨の中バスを待ち続けていたら、生後間もない子供は風邪をひき、家に置いてきた事情を知らない小学生の姉弟は不安にかられていただろうと思います。女性と、彼女の娘さんの優しさのお陰で、風邪をひくこともなく、家に残した子供達も無事学校に送り出すこともできました。
あれから数十年経ちますが、「その方の優しさの万分の一でもお返しですることができたかな?」と自問自答しております。
朝、名前も告げずに車で家まで送ってくれた女性にありがとうを伝えたいです。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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