別の世界に繋がってそう... 京都・伏見にひっそり佇む「不思議な鳥居」の正体とは
「こんな鳥居みたことない」
「変わった形式やんなぁ」
「日本じゃないみたい」
これらは、京都市に立つとある鳥居を写した写真に寄せられたコメントだ。
鳥居と聞けば朱色のシンプルなデザインがまず思い浮かぶし、かなり「日本っぽい」存在。こんな風に言われるなんて、どれほど変わっているのか――早速、問題の写真をみていただこう。
こちらは2022年5月30日にツイッターユーザーのSaho.eth(@urbex_34)さんが投稿した1枚。
鳥居の形をしてはいるのだが......角ばった柱には仏らしき人物や植物のような柄、さらには抽象的な紋様が彫り込まれている。
確かに見慣れない、どこか異国情緒すら感じる姿に「鳥居に入ったら二度と現実世界に戻って来れなさそう」「ゲームに出てきそう」といった声も。
この不思議な鳥居は、京都市伏見区・深草エリアにある「大岩神社」の参道に設置されている。
日本画家が寄進した鳥居だった
伏見区のウェブサイトなどによると、大岩神社の詳しい沿革は不明だが、ご神体は大小二つの岩。「難病の神様」であるという言い伝えが古くからあるそうだ。
話題の鳥居は京都市出身の日本画家・堂本印象が寄進したもの。堂本印象は大正から昭和にかけて京都で活躍した画家で、1974年まであった旧最高裁の大法廷にも彼が聖徳太子を題材に描いた3枚の絵が飾られていた。
また、伝統的な日本画だけでなく、抽象画、彫刻、陶芸、ガラス、金工、染色なども手掛けたという。
京都府立堂本印象美術館の公式ウェブサイトでは、印象のこんな理念を紹介している。
「伝統を打ち破って新たな芸術の創造を目指すことが真の伝統である」
山中にひっそり佇む鳥居を訪れて、印象の芸術に触れてみる――そんな京都観光はいかがだろう。
ちなみに、千本鳥居で有名な伏見稲荷とは、そんなに遠く離れていない。ぜひ、歩きやすい靴をはいて行ってほしい。