「おじいさんに道を教えたら、彼の孫が悲壮な顔で駆け寄ってきた。何事かと思ったら、頭を下げられて...」(東京都・40代女性)
子供の予想外の行動に驚かされてしまった――
東京都在住のJタウンネット読者・Aさん(40代女性)は、駅で出会った子供との思い出を編集部に寄せてくれた。
約10年前、大阪に住んでいたAさんは駅で高齢のおじいさんとその孫の兄妹と遭遇した。
おじいさんからあるホテルへの行き方を尋ねられたAさんは、スマホを使って調べ、道を教えてあげたという。
軽く会釈をしてその場を去ったおじいさん。Aさんは道がちゃんと合っているか見届けていた。
すると、おじいさんの後ろをついていた男の子がAさんの元に戻ってきて......。
「悲愴な顔で振り返り、小走りに引き返してきた」
10年くらい前の夏の夕方のことです。そのころ私は大阪に住んでいました。
勤務後に新大阪駅へ向かうと、かなり高齢のおじいさんと小学校2~3年生くらいの男の子と幼稚園生くらいの女の子の兄妹に遭遇。
おじいさんから「◯◯ホテルに行きたい、どう行けば?」と聞かれたので、スマホで調べて、連絡バス乗り場への行き方を伝えました。
おじいさんは、軽く会釈をして小股でゆっくりと去っていきます。私は方向が合っているかしばらく見届けていました。
すると、おじいさんの後ろについていた男の子が何度か悲愴な顔でこちらを振り返ります。
そしてついには、小走りで引き返してきたんです。
「さっき親切に教えてもらったのに...」
「どうしたの?」と尋ねると、その子は「あの......さっきはありがとうございました」と一言。
なにかあったのかともう一度質問したら、こんなことを言うのです。
「さっき親切に教えてもらったのに、おじいちゃんはお礼を言わなかったです。すみません、僕が代わりに言います。どうもありがとうございました」
そして、あとから追いかけてきた妹の頭を下げさせて自分も深く頭を下げました。
私は驚いて声が出てしまい、「どんな育て方をしたらこんな素晴らしい子に育つの」と考えてしまいました。
気づいたらその男の子の頭を撫でまくってしまい、男の子は苦笑い。何かあげようかとも考えましたが、悩んでいるうちにおじいさんが行ってしまいそうでした。
満面の笑みで走り去っていったた兄妹
「私のほうこそありがとう、感心したよ。夏休みなのかな、おじいちゃんとお出かけいいね。楽しく過ごしてね」
そう声をかけましたが、こんなことしか言えない自分が悔しかったです。
その後、男の子は満面の笑みで妹と何度もお辞儀しながら、走っていきました。
私は今、3歳の子を育てています。こんな子に育ってほしいなと、たまにこの出来事を思い出します。夏の日のほっこり懐かしい大切な思い出です。
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