国交省が「マドハンド」を呼んでいる...? ドラクエのモンスターそっくりの「手」が量産された理由とは
皆さんは、「マドハンド」をご存じだろうか。
大人気ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズに登場するモンスターだ。泥でできた人間の手で、仲間をよく呼ぶ。この特性を使ってレベル上げをした冒険者が、読者の中にも居るかもしれない。
そんなマドハンド(のようなもの)を大量発生させている場所がツイッターで注目を集めている。それがこちらだ。
泥ではなく、氷でできているという違いはあるものの、うじゃうじゃと地面に並ぶ手はマドハンドそっくりだ。
ツイッターではこの光景が「ドラクエだーーーー!!」「マドハンドはなかまをよんだ!」「マドハンド......いやアイスハンドですねw」などと話題に。そして中にはこんな声も。
「国交省がドラクエのモンスター生産してる」
実はこの手たちの写真は、長野県南部を走る国道19号などを管轄している国土交通省・飯田国道事務所のツイッターアカウントが投稿したものなのだ。
なぜ国交省の事務所がドラクエのモンスターを? Jタウンネット記者は2022年2月28日、同事務所のツイッター担当者に話を聞いた。
そもそもマドハンドなの?
「実は、あの投稿をした者はドラクエを知らなかったんです。そもそもプレイした経験もありませんでした」(飯田国道事務所の担当者)
記者の質問に、担当者はそう答えた。
なんと、ゲームとは全くの無関係だったのだ。しかし、ツイッターから寄せられた反響で意識した部分はあるようで、
「凍った手は、2月18日に初めて投稿しました。そのときにツイッターで『マドハンドだ!』との反応があり、なんのことか調べてみたそうです」(担当者)
そこで「マドハンド」がドラクエのキャラクタ―であることを知り、仲間を呼ぶ能力があることも分かった。 そこで25日により多くの「手」を並べ、
「仲間を呼びました」
とツイート。担当者いわく、「反響を元にドラクエに寄せたんです」とのことだ。
ドライバーに向けた注意喚起
では、マドハンドのことを知らなかった投稿者は、なぜ「手」を生み出し、そして並べたのか。担当者によると、そもそも氷の手は、ドライバーにあるメッセージを伝えるために作られたものだという。
「あの凍らせた手は夜から朝にかけての一番寒い時間を狙って作ったものです。その時間になると、手袋に入れた水もあれだけしっかり凍ってしまう。道路が凍結してスリップなどの事故の危険性が高くなってしまうということなんです。
それをわかりやすくドライバーの方に注意喚起するために作りました」(担当者)
飯田国道事務所の「凍らせてみましたシリーズ」は22年に入ってからスタート。1月6日にタオルを凍らせると、同25日にはジーパンもカチコチにした。「身近にあるもの」を題材に冬の道路の危なさを訴え続けているのだ。
なお、気象庁のウェブサイトを見ると、事務所のある飯田市は、1月の最低気温の平均が-4.6度である。
「飯田国道事務所に限らない話ですが、冬季は道路に凍結防止剤を撒いたり、除雪したり、対策を施しています。ただ、それだけでは間に合いません。やはりドライバーの方にもスタッドレスタイヤをはいて、チェーンも携行してもらい、自分で対策をしていただくのが大事です」(担当者)
Jタウンネットのオフィスがある東京都千代田区では2月28日に最高気温15度を記録し、春の陽気が感じられた。しかし、飯田国道事務所のある南信地方ではまだまだ気が抜けない。
「4月でも雪が降ったことがある地域ですから、3月いっぱいはまだ凍結などに注意していただきたいです」(担当者)