「受験のために訪れた街で迷子に。大学までの道を聞こうと、通りがかった車を止めたら...」(静岡県・40代女性)
大学受験シーズンの、真っ只中である。1月15日と16日には大学入学共通テストの本試験が行われ、国公立大学の二次試験出願期間も近付いてきた。私立大学の試験も日々実施されている。
大事な試験であればあるほど、不安要素は取り除いておきたいもの。
試験当日が来る前に、試験会場への道のりを確認する受験生も少なくないはずだ。Jタウンネット読者のAさん(仮名、静岡県在住・40代女性)も受験生時代、試験に向かう「予行演習」をしたという。
滞在先のホテルから会場となる学校まで、試験の前日に行ってみることにしたAさん。当時は地図アプリもなく、紙の地図を見ながら向かうしかなかった。
馴染みのない道、馴染みのない風景。気づけば彼女は完全に道に迷っていたという。
不安と緊張でいっぱいになったAさんは、道行く車に助けを求めてみることにした。
「戻ることもできずどうしたらいいか......」
20年以上前ですが、大学受験のために栃木県宇都宮市に行きました。
当時18歳の私にとって、1人で宿泊するのは初めてのこと。受験もあったため緊張と不安を抱えていました。
受験前日、私は行き方を練習しようと会場の学校まで行くことにしました。ホテルから少し私鉄に乗り、2つの駅のどちらで降りても到着まで同じくらいの時間だったため、なんとなく手前の駅で降りて歩きました。
当時は地図アプリのようなものがなく、学校から出されている地図のコピーを持っていましたが、ちょっとした田舎風景に不安を覚えました。
歩いていくとある工場にぶつかり、一面が壁しかなくさらに不安になってしまいました。しばらく壁沿いを歩きましたが、曲がり角もお店もなく、後ろを見ても壁で、戻ることもできずどうしたらいいかわからなくなってしまい、途方に暮れていました。
車は多少通っていましたが、歩いている人は見当たらず、誰かに道を聞くこともできませんでした。
「その車がUターンしてきて......」
そんなときに私は勇気を出して、母親と同じくらいの世代に見える女性が運転している軽自動車に向かって手を上げて、止まってもらいました。
「すみません、ここに行きたいのですが、迷ってしまって」と質問すると、車の女性は「このまま壁沿いを歩いて」と道案内をしてくれました。
道を教えていただいたことで、先がわかり不安は減りました。お礼を伝え、私は再び歩きだしました。
しかし、なぜか先ほどの車がUターンして戻ってきたのです。そして私のそばに止まると、同乗の女性が降りてきて、
「知らない土地で不安でしょうから、もし良かったら送りますよ」
「知らない人の車に乗るのも心配かなと思ったけど、こんな何もない所じゃ不安だよね」
と声をかけてくれました。
私は思わず、ボロボロ泣いてしましました。
その後、無事大学に受かり、たまにこの道を通ったときには、その女性の優しさを思い出し、温かい気持ちになりました。
直接お礼が言えないからこそ、次の世代に恩返しをしたいと、小さな子や迷っていそうな子を見るとつい声をかけてしまいます。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。