かつては100店舗超、残るは2店舗 ハンバーガーショップ「サンテオレ」代表が明かした再展開への思い
みなさんは「サンテオレ」というハンバーガーチェーンをご存じだろうか。
サンテオレは、明治乳業が1973年に第1号店をオープン。最盛期には関東地方を中心に100店舗にも達した、中堅のハンバーガーチェーンであった。
しかし、06年に明治グループを離脱してサンテオレコーポレーション(東京都杉並区)に譲渡されるなど紆余曲折を経て、21年12月現在、店舗数を「日本大通り駅店」(横浜市)、「東金店」(千葉県東金市)の2店にまで減らしてしまっている。
栄枯盛衰の道をたどってきたサンテオレだが――まだ完全に灯が消えたわけではない。
なぜここまで店舗が減ってしまったのか。そして、復活の可能性はあるのか。
12月15日、Jタウンネット編集部はサンテオレコーポレーションの代表・川名文大さんに話を聞いた。
希望者には「協力するかもしれない」
サンテオレが店舗数を減らしてしまった要因について川名代表はこう話す。
「サンテオレは1973年に創業して、店舗を拡大してきました。これだけの歴史があると、それぞれの店舗に『再投資』の問題が出てくるんです。お店は開業当時のままではなく、年数が経つと痛んできてしまう場所も出てきます。
再投資して店舗を新しくすることもできるのですが、それをしなかったんです。ほかにも人手不足の問題で閉店せざるを得ないところもありました」
店舗数を減らしてしまったサンテオレだが、誇りも忘れていない。
「サンテオレは店舗数こそ少ないですけど、長く続いているほうだと思います。マックの後に『ロッテリア』、『森永LOVE』、グリコの『グリコア』、『雪印スノーピア』と大手メーカーがハンバーガー店に進出する流れがあり、明治乳業が始めたサンテオレもその1つでした。
ですが、ロッテリア以外は撤退してしまいました。そう考えるとサンテオレは生き残っているほうです」(川名代表=以下同)
創業から約40年。2店舗とはいえ、まだサンテオレの屋号は続いている。川名代表も諦めていない。
「1970年代から長いことやってきていますから、ノウハウはあります。再展開も考えていないわけではないのですが、コロナもありますから、なかなかうまくいきません。もしサンテオレをやりたいとやる気がある人の名乗りがあれば、協力するかもしれません」
残る店舗に行ってみた!
復活の可能性があるサンテオレをこの目で確かめたい。
12月17日、筆者は唯一バーガーショップの形態として残る「サンテオレ東金店」を訪れた(「日本大通り駅店」はバーガーカフェとなっている)。
川名代表によると、サンテオレ東金店は入居する商業施設「サンピア」が開業した1978年から店があり、サンピア内で2~3回の移転をしつつ、現在はフードコートで営業を続けている。
東金店ではハンバーガーだけでなく、讃亭茶屋としてラーメン、うどん、そばといったメニューも扱っている。ハンバーガーショップではあるが、バラエティ豊かだ。
懐かしい味の「男爵コロッケバーガー」
店の入り口に置かれているメニューはかなり新しいようだが、レジ上のメニューは若干年季が入っている。このレトロ感が老舗の風格を感じさせてくれる。
今回筆者は、サンテオレ東金店のツイッターアカウントでおススメ商品となっていた「男爵コロッケバーガー」をオーダー。
コロッケは注文してから揚げてくれた出来立て。サクサクの衣の食感が楽しめ、あつあつのジャガイモからは甘味が溢れ出してくる。コロッケにかかった中濃ソースがジャガイモの魅力を引き立て、食べ進めているうちについつい頬が緩んでしまった。シンプルでどこか懐かしく、満足感の高いバーガーであった。
筆者が訪れたのは金曜日の17時半ごろ。フードコートには地元の高校生と思わしき制服姿の若者が5人ほどいただけ。時間帯のせいかもしれないが、少々寂寞感も覚えた。
しかし、バーガーのおいしさは間違いない。しっかりしたメニューがあれば、サンテオレの復活もいつの日か現実のものとなるかもしれない。