「どこまで行っても人っ子一人通らぬ道路。息子と2人で歩いていると、一台の車がそばに止まり...」(兵庫県・70代女性)
みなさんは、イノブタという動物をご存じだろうか。
イノシシとブタが交配して生まれる動物で、日本では1970年に和歌山県畜産試験場で、イノシシを父、ブタを母に持つイノブタが誕生したのが最初だ。
試験場のあるすさみ町ではイノブタたちを走らせる「イノブタダービー」を開催したり、イノブタのテーマソングを作ったり、パロディ国家「イノブータン王国」を建国したり......「イノブタの町」であることをアピールしている。
兵庫県在住のJタウンネット読者Aさんは40年ほど前、そんなイノブタたちを見学するため、歌山県畜産試験場に行くことに。
小学生の息子と2人、試験場を目指したという。最寄り駅にたどり着いてからの交通手段は、徒歩。
歩いて行ける距離だと思っていたのだが......いつまでたっても目的地にはたどり着かない。
そんな彼女たちの前に、1台の見知らぬ車が現れた。
「つづら折りの道路が続くばかり...」
1985年ごろ......今から40年近く前のことです。小学生だった次男の学校行事の関係で平日が突然休校日になりました。そこで、次男と2人で和歌山県畜産試験場にイノブタ見学の一泊旅行をすることに。
駅の名前は覚えていないのですが、最寄りの駅から畜産試験場目指して歩き出しました。
まだインターネットも普及していない時代で、たまたま家にあった地図を持って出かけていました。歩いて行ける距離だと思っていたのですが、つづら折りの道路が続くばかりで、人っ子ひとり通りません。
1時間も歩いたくらいでしょうか。途中にドライブインのような店があったので少し休みました。その店は女性の店主が1人で切り盛りなさっているようでした。
休憩のあと、また目的地目指して歩き出したのですが、時おり車が追い抜いて行くばかりで道は続きます。 そんなとき、そばに1台の車が止まりました。
「乗りなさい」と声をかけられ...
「送って行くから乗りなさい」
車からそう言ったのは、さっきのドライブインの店主でした。10分......いや、20分ほど走ったと思います(私はその間じゅう、無人であろうお店のことが気がかりでした)。
目的地に着くや、彼女はすぐ戻って行かれ、充分お礼も言えず、ずっと申し訳なかったと思っています。
あの時は本当にありがとうございました。あの時の息子も3人の子の父親となっています。
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
和歌山県のウェブサイトによると畜産試験場の最寄り駅は「周参見駅」(白浜方面)か「見老津駅」(新宮方面)。Googleマップで見てみると、Aさんが見学に行った時と状況は変わっているかもしれないが、周参見駅からは徒歩で1時40分ほど、見老津駅からは1時間弱かかってしまうようだ。
ウェブサイト上でも
「訪問にあたっては試験場周辺の交通状況から、車または最寄駅よりタクシーでの訪問を推奨しています」
と記されている。幼い息子と2人なら、さらに時間がかかるに違いない。
そんな状況を助けてくれた店主との出会い。Jタウンネットではそんな「旅先のほっこりエピソード」を読者の皆様から募集している。
読者投稿フォーム、または公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、旅行に行った時期・場所、具体的なエピソード(どんなことにほっこりしたのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。