訪問難易度MAX!山形の人気店「琴平荘」の激レアメニューをカップ麺で 味噌ラーメンとは思えぬ繊細さに脱帽
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第七十回 ファミマ限定「中華そば処 琴平荘 味噌そば」文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」連載の第七十回目となる今回は、山形・鶴岡の「中華そば処 琴平荘」の限定メニュー「味噌そば」を再現したファミリーマート限定のカップ麺をレビューします。
「中華そば処 琴平荘」は、山形・鶴岡にある大人気ラーメン店。
旅館を経営していた店主が閑散期である冬季限定で2002年に開業し、旅館の大広間を使って営業してきました。
現在旅館は廃業したそうですが、ラーメン店の方は引き続き毎年10月~翌年5月までの8ヶ月限定で営業しています。
観光客には難易度が高すぎる山形の名店「琴平荘」
大人気店ですが、観光客にはいくつもハードルがあります。
近隣に三瀬海水浴場があって観光シーズンは夏なのに営業は夏以外。お店の近隣には鉄道駅がなく、車で行くしかありません。
さらには、大人気店であることから、午前8時に配布される整理券を手に入れなければならず、一度どこかで時間をつぶして開店時間に戻ってくるか、駐車場で待つ必要もあります。
すべてクリアしてラーメンにありつくまでの難易度は非常に高く、まるで修行。天竺かガンダーラへの道のりのようです。
お店の看板メニューは醤油味の「中華そば」ですが、今回のカップ麺で再現されているのは平日限定&20食のみという県外から食べに行くにはさらに厳しい条件が加わった「味噌そば」。
筆者はその昔、「たけしの挑戦状」というファミコンゲームで人生初の挫折を味わって以来、挫折だらけの人生を送っていますが、難易度の高い「琴平荘」で「味噌そば」にありつくのは、まさに「無理ゲー」のレベル。
そんな一杯の雰囲気をカップ麺で体感できるのはうれしいですよね。
「琴平荘 味噌そば」の内容物を確認
今回のカップ麺はファミリーマート限定発売で東洋水産が製造を担当。
「琴平荘」のカップ麺はファミマに統合される前のサークルKサンクス時代から定期的に発売され、ここ数年は毎年「中華そば」と「味噌そば」が交互に登場しています。
別添袋は3つ。
スープの袋は「液体スープ」と「粉末スープ」の2種類入っており、スープへのこだわりを感じます。
粉末は豚骨などスープのベース部分を、液体は味噌や油脂など味付けやこってり感を担う場合が多いですが今回はどうでしょうか。
麺の上にかやくを開けた状態。大きなチャーシューやねぎ、メンマがたくさん入っており、具の量も充実していそうです。
麺は白っぽい色味のノンフライ麺で、麺量は70グラムと普通の量となっています。
味噌ラーメンらしからぬ繊細なスープ
豚骨をベースに、スープ表面に豚脂を浮かせた味噌味のスープ。
味噌ラーメンと言えば札幌味噌ラーメンや仙台辛味噌ラーメンなどが有名で、いずれも濃厚こってりな味わいが特徴ですが、このスープは味噌ラーメンと思えないレベルであっさりしており、すっきりクリアな味わい。
クセのない白味噌を使用し、ほんのり甘いスープの中で感じられる豚の旨み。
白味噌や豚骨、豚脂など札幌ラーメンと共通部分が多いのに、ラードなどでヘビー級なイメージの札幌味噌と比較すると、同じ味噌ラーメンでもここまであっさりで雰囲気が違うのは面白いです。
隠し味として鯛だしが使われているとのことで、豚の旨みの後ろから上品な魚の風味がやってきます。
鯛だしだけではなくスープ表面に浮く粒ごまや唐辛子の風味までしっかり感じ取れ、他の濃厚味噌ラーメンとは違う繊細なスープでした。
麺や具は再現性が高いとは言えない
麺は中太でストレートに近い形状のノンフライ麺。
ほぼストレート形状で、麺表面のつるみと弾力のある食感が特徴の多加水麺食感。かなりコシが強く、麺にこんにゃくが練り込まれていることが大きく作用していると思われます。
お店で使われているのは自家製の多加水縮れ麺で、今回のストレート麺はお店の麺を忠実に再現しているは言えない形状。
東洋水産が製造する「正麺カップ」シリーズの麺と特徴が一致しており、同じ製造ラインを使った兄弟商品であることが覗い知れます。
「正麺カップ」のスープをさらにリッチにした一杯といったところでしょうか。
具は大きな乾燥チャーシューとメンマ、ねぎ。お店のラーメンも入っている組み合わせですが、こちらも麺同様、東洋水産の商品でよく見かけるものを組み合わせており、お店の再現性を重視した具ではないようです。
ただ、麺も具も、再現性が高くない=クオリティが低いということではなく、麺はスープの繊細な味わいを引き立てつつ食感で存在を主張し、具も大きなチャーシューは食べ応えがありました。
味噌ラーメンなのにあっさり繊細な味は必食の価値あり!
山形・鶴岡の難易度MAXな名店の味を再現したカップ麺でしたが、カップ麺の味も、ハードルをいくつも超えてお店に食べに行く人の気持ちが理解できるおいしさでした。 お店の希少性に加え、味噌ラーメンでこれだけあっさり繊細な味というのもとてもレアな存在と言えるでしょう。
少ないチャンスをものにしてお店で食べるとしても、看板メニューである醤油味の「中華そば」を選ぶ場合も多いのではないかと思います。
お店では「中華そば」を食べ、カップ麺で「味噌そば」を補完するのも大いにアリではないでしょうか。