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天狗「卵は健康に良い。だから山盛り食べろ!」→人間「無理です」 栃木・鷲宮神社の珍行事「強卵式」が面白い

松葉 純一

松葉 純一

2021.11.27 08:00
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2021年11月23日、次のような写真付きのツイートが投稿され、いま話題となっている。

写真は、「天狗が『山盛りの卵を全部食べろ』と人々に強要」しているところらしい。強要された人間は「全員が『無理です』と断る」という。

そんな「奇妙な神事」を投稿者は見学してきたそうだ。

「大魔王:影市マオ」(@daimaohgun)さんが投稿したツイートには、2万件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散している(11月23日現在)。

いったいこれは何だろう?

Jタウンネット記者は、投稿者「大魔王:影市マオ」さんと、この神事を行う鷲宮神社(栃木県栃木市)に詳しい話を聞いた。

「卵を食べるのを頑なに拒否する儀式」って?

「大魔王:影市マオ」(@daimaohgun)さんのツイートより
「大魔王:影市マオ」(@daimaohgun)さんのツイートより

Jタウンネット記者はまず投稿者・影市マオさんに、写真撮影時の状況を聞いてみた。

「写真は毎年11月23日に、栃木県栃木市の鷲宮神社で催される行事『強卵式』の様子です。
天狗が頂戴人の男女10人に無理やり日本酒を飲ませた後、山盛りの卵を食べ尽くすよう一人ずつ強要しているところで、儀式の最高潮と思われる瞬間を撮影しました。
今年は午前10時から拝殿内で執り行われ、一般参拝者は建物の周りを取り囲む形で見学したのですが、私は可能な限り最前列の方でシャッターチャンスを狙いました」(影市マオさん)

天狗が、無理やり日本酒を飲ませた後、山盛りの卵を強要するという、相当ムチャな展開だ。

影市マオさんはさらに詳細なレポートをしてくれた。

「予想以上に天狗の独壇場でした。頂戴人達の目の前に次々移動し、『健康に良いぞ!』とか『肌に良いぞ!』とか言いながら、どうにか卵を食べさせようとする姿が、怖いながらもユーモラスでグッときました。山盛りの卵が10人分も並んでいて、まるで早食い大会みたいなのに、皆食べるのを頑なに拒否する光景も率直に面白かったです。
21世紀になって出来た比較的新しい儀式のようですが、これがこの先数十年、数百年と伝統的に続いていったら良いなと感じました」(影市マオさん)

鷲宮神社の公式ウェブサイトでは「(頂戴人たちは)大きな器に山と盛られた生卵を、一つ残らず食べつくすのじゃと責め立てられます」と説明されているが、天狗はかなり強く卵をオススメしてくるようだ。

しかし頂戴人たちはどんなにその魅力をアピールされても卵を口にせず、「有り難きこの卵は神様にお供えいたします」といって辞退するそう。その様子を見た天狗たちは鷲宮神社の神様に、人間たちの心がけの良さを報告する、ということらしい。

「ちょっとユーモラスな儀式として始めた」

山伏が山盛りの飯を食べることを強要する「強飯式」という儀式は聞いたことがあるが、「強卵式」というのは初耳だ。なぜ「卵」なのだろう?

Jタウンネット記者が、鷲宮神社に電話で聞くと、宮司の菱沼至広(ひしぬま・よしひろ)さんが答えてくれた。

「神社には、神様のお使いという動物がいますよね。お稲荷さんの場合は、キツネとか。当社の場合は、鶏がお使いとされております。なので、鶏肉や卵は、古来より食べてはならないと伝えられてきました。
(強卵式は)2001年、先代宮司の供養を兼ねて、ちょっとユーモラスな儀式として始めたわけです」(菱沼宮司)

鷲宮神社へ御参りをする時、特に御祈願をする時には、鶏肉や卵を断たなければならないという故事に因んだ儀式ということだ。

「実は私も、鶏肉や卵は、常に慎んでおります」と、菱沼宮司は語る。

鶏の唐揚げや卵焼き、オムレツが食べられないとは、とても厳しい戒律である(筆者にはとても無理だ)。

それだけに鷲宮神社への参拝はご利益があるのかもしれない。

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