「ブナシメジ:おいしい」「ナメコ:きわめておいしい」 説明が主観的すぎるキノコの展示に反響
「主観のバイアスが強い」
そんなコメントと共に投稿された、ある博物館の展示の説明文が、ツイッターで注目を集めている。
こちらは、「アフタヌーン四季賞2020秋」に準入賞した漫画作品「POLKA DOT STINGRAY」の作者で、ツイッターでも作品を発表している茨城県在住の漫画家「潜水そそう」さんが2021年10月31日、自身のツイッターアカウント(@sosou5963)に投稿した写真。
同月、群馬県立自然史博物館(富岡市)の常設展で撮影したものだという。
映っているのは、透明な材質のキューブの中に入れられた様々なキノコの展示だ。そして、その下についているプレートには、名前や分類名と一緒に、
「猛毒」
「食用、おいしい」
といった、シンプルな説明が記されている。
しかも中には「きわめておいしい」というものもあったという。「おいしい」と感じるか、「きわめておいしい」と感じるかは、人によって違うのでは......?
一体、どうしてこんな紹介をしているのだろうか。Jタウンネット記者は11月4日、同博物館の生物研究係・伊藤智史さんに話を聞いた。
「一番気になるポイントだから」
話題のキノコの展示は館内の「群馬の自然と環境」コーナー内にある。標高の低い場所に分布する45種類と、高い場所に分布する16種類の2か所に分けた、合わせて61種類の本物のキノコの標本が並んでいるという。
そして肝心の説明文は、博物館のスタッフが考えたものではなく、「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)という図鑑から引用しているとのこと。
同書を引用するにあたり、スタッフの間でも当初「主観的ではないか」という声があがったという。
「ただ、キノコというのはやはり食べられるかどうか、毒があるかどうか、といった点が一番気になるポイントだろうという考えから、スタッフ間で相談した末、あえてこうした表記のままにすることになりました」(伊藤さん)
そのうち食用のキノコは「食用」「食用、おいしい」「食用、きわめておいしい」のように紹介され、「きわめておいしい」と説明されているキノコは、「ナメコ」「シイタケ」「タマゴタケ」など。
ちなみに、同館に展示されているもののなかで、伊藤さんが一番「おいしい」と思うキノコは「コウタケ」とのこと。
「キャプションは『食用、おいしい、生食は毒』となっています。香りがとてもよく、漢字では『香茸』と書きます。
料亭とかで出てくる場合があり、天ぷらや炊き込みご飯が絶品です」(伊藤さん)