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3Dプリンターで、なんでも簡単に作れると思うなよ! フィギュア製作者が語る「現実の厳しさ」

大久保 歩

大久保 歩

2021.11.03 17:00
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「おもしろおかしく描きましたが...」

「すしねこ」(写真はAurélienさん提供)

そもそも、通常のプリンターもテキストや図などのデータがないと印刷できないように、3Dプリントにも「モデルデータ」が必要。そのため、何かを作るためには自分で3Dモデリングを学習するか、ネットで販売されているデータを購入しなければならない。

想像するだけで気が遠くなってきた記者に追い打ちをかけたのが、「出力失敗(一部では『印刷の死』と表現する)」という悲劇である。

「3Dプリンターの性能にもよりますが、出力失敗はよくあります。データの一部が出力されなかったり、あるいは(私のイラストのように)出力品が途中でビルドプレート(出力品ができるプレート)から剥がれてレジンタンク(レジン※が入っている四角い容器)の中にどぼんと落ちることもあります。
私も3Dプリンターに詳しいわけではないのですが、出力に失敗する原因は様々で、3Dプリンターの設定の問題だったり、気温の問題だったり、データの問題だったりします」(Aurélienさん)
※レジン...パーツ用の、液状のプラスチック素材

ようやく出力できたパーツがレジンの沼に落ちた日には、立ち直れなくなりそうだ......。3Dプリンター、ハードすぎでは?

それでもAurélienさんが制作を続けるのはなぜだろう。

「イラストの中では『レジンがくさい』とか『パーツがあわない』とか『印刷の死』とかおもしろおかしく描きましたが、それでも3Dプリンターは夢があるし、造形が好きだし、何より楽しいからです。
以前は画面の中でしか見ることのできなかったデータが、3Dプリントされて、実際に手にとれる喜びは大きいです。3Dプリンターの技術はものすごい早さで進歩しているので、近い将来もっと楽にフィギュアができるようになると思います」(Aurélienさん)

月並みな表現になってしまうが、制作への「愛」があればこそ、困難だらけの3Dプリンターにも向き合い続けることができるのだろう。

「肉まんを食べる猫」(写真はAurélienさん提供)

自分が使うことはないと思っていたが、Aurélienさんの話を聞いてがぜん興味がわいてきた。ちょっと量販店で見てこようかな......。

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