地元民のソウルフードは「ハスカップおにぎり」!? 北海道・厚真町産ハスカップを食べてみた
皆さんはハスカップを食べたことはあるだろうか。
北海道土産で「ハスカップ味」のお菓子や飲み物は見たことがあるが、「ハスカップ」そのものがどんなものかは知らない、という人も多いかもしれない。
見た目はプルーンに似た、深い青のような紫のような色の果物だ。
主な産地は北海道で、関東出身・在住の記者はこれまで見たこともなかったのだが、今回、ついにハスカップデビューを果たすことができた。
2021年9月29日、フルーツ専門店「新宿高野」本店で行われた「フルーツカルチャースクール」という試食会に参加したのだ。
テーマは、「北海道厚真(あつま)産ハスカップの魅力を味わう」。
ハスカップの栽培面積・生産量ともに日本一の北海道・厚真町で収穫された、「ゆうしげ」「あつまみらい」の2品種を使った数々のメニューがテーブルに並んだ。
日の丸弁当の真ん中にハスカップ!?
「私が小さい頃は、ハスカップの塩漬けをご飯のお供にするのはもちろん、砂糖漬けにしてシロップを作り、ジュースにして飲むこともありました。おじいちゃんなんかは、焼酎漬けにしたりもしていましたね。
いずれも、ハスカップは保存食として食べるものでした」
そう語るのは、厚真町でハスカップを栽培する「ハスカップファーム山口農園」の農園長・山口善紀さん。
かつてハスカップは、加工して口にするのが「常識」だった。なぜなら、苦みや酸味が強く、そのまま食べておいしいものではなかったからだ。
ハスカップの群生地である厚真町には、塩漬けにしたハスカップを梅干しのようにご飯といっしょに食べる文化があるという。日の丸弁当のように、お弁当箱に詰めたご飯の真ん中にハスカップを添えることも。何より、中にハスカップの塩漬けが入った「ハスカップおにぎり」は、厚真町民のソウルフードなんだとか。
しかし、試食会で提供されたのは「そのままでも食べられる」ハスカップである。
厚真町では苦い実のなる木を取り除き、味の良い実のなる木を選抜して育てることで、苦味のないハスカップを生み出したという。
そんなハスカップがふんだんに使われた、試食会のメニューは、こんな感じ。
・調理されていないハスカップ
・ジャム
・スムージー
・ハスカップで作ったドレッシングをかけたサラダ
・非加熱のソース風ジャムとハスカップ入りレアチーズケーキのプレート
・ハスカップティー
これらに使用された「ゆうしげ」と「あつまみらい」はいずれも、厚真町でしか栽培されていない品種だ。
まずは、調理されていない果実をひと口ずつ頂く。
初めて食べた「ゆうしげ」のすっぱさには、かなり驚いた。記者が過去に食べた中で、これよりすっぱい果物はレモンぐらいのものだろう。
しかし、その直後に食べた「あつまみらい」のほうがさらにすっぱかった。
だが、確かにどちらにも「苦味」はなかった。
ハスカップティーの衝撃
次に、それぞれのジャムをすくって食べてみる。あつまみらいの強い酸味はかなり和らいでいたが、それでもすっぱさが際立ち、体に良さそうな印象だった。
一方、ゆうしげのジャムはほどよく甘ずっぱくて、食べやすい。ヨーグルトやバニラアイスなどにも合うだろう。
ずらりと並んだハスカップメニューの中でも、記者がとりわけ気に入ったのが、「ハスカップティー」である。
「ニルギリ」という、口当たりが柔らかくて渋みの少ない茶葉のストレートティーに、調理していないあつまみらいをつぶしたものをティースプーン1杯分入れるだけと、作り方はとてもシンプル。
レモンティーのような酸味がありながら、レモンにはないほのかな甘みが舌に残り、フルーティーな味わいだ。砂糖も要らないくらい、適度な甘みと酸味のバランスが絶妙である。色も美しく、目でも楽しめる。
これはぜひとも読者の皆さんにも試してほしい「ハスカップ」の味わい方だった。
ハスカップにはレモンの1.8倍のビタミンC、ブルーベリーの5倍以上のポリフェノール含まれるなど、栄養満点。抗酸化・抗糖化作用や、殺菌作用も確認されているので、健康に気を遣っている人にはうれしい食材だ。
現地を訪れる以外では、JAとまこまい広域ネットショップ等の通販で購入できる。また、山口農園が経営する「ハスカップカフェLabo」のオンラインショップでは、ハスカップジャムや佃煮などの加工品が販売中。
おいしくて、栄養価も高い厚真産ハスカップの実力、みなさんも体感してみては。
10月20日16時 編集部追記:記事初出時、固有名詞に誤りがありましたので修正しました。