「飛行機が遅れたせいで、仮眠できる場所が見つからない。幼い娘を連れた私は仕方なく...」(静岡県・40代女性)
空港やその周辺には、仮眠を取れるスペースや施設がある。早朝の便を待つ場合や、夜遅くの便で帰ってきた時に、使ったことがある人もいるだろう。
飛行機が遅れて、空港への到着が深夜になった時は特に、そんな場所が大活躍する。
電車で帰れるはずだった人々が、翌日の運行までしばしの足止め。ちょっとした混雑になることもあるかもしれない。
静岡県の40代女性・Jさん(仮名)もかつて、まさにそんな突然の混雑に遭遇してしまった。
娘と二人での海外旅行からの帰り、帰国便が遅延したことで羽田空港に到着したのはなんと深夜0時過ぎ。
もともと空港近くの仮眠スペースのある温泉施設で一泊してから帰るつもりだった彼女たちだが、他の乗客たちもこぞってそこに殺到してしまい......。
今回紹介するのは、そんな彼女たちが体験した「旅先いい話」だ。
混雑のあまりロビーで寝ている人も......
7年程前、私は当時小学1年生だった娘と二人で、イギリスとフランスへ旅行に行きました。
帰国便は羽田着が22時頃の予定でした。当時航空会社のキャンペーンで近くの温泉施設の仮眠場所に無料で泊まれるというものがあったので、私たちは当初からそこで1泊して自宅に帰る予定でした。
しかし、飛行機が遅れ、羽田への到着が深夜0時を過ぎたことで、想定以上の人がその温泉施設で宿泊する事態になったのです。
仮眠場所はすでにいっぱい。ロビーで寝ている人もいるほどでした。
仮眠室をのぞきながら「満室でここでは寝れないね~」と娘と話し、仕方ないので私たちもロビーのどこかで寝ようと思っていました。
そこへ、ある一人の男性が話しかけてきたんです。
「寝る場所がないのですか?」
それは、大学生くらいの男の子でした。
「寝る場所がないのですか?」
と聞いてきたので、「仮眠室もいっぱいなのでロビーで場所を探そうと思って...」と言ったところ、彼は私たちを仮眠室まで連れて行き、
「僕の場所を空けますよ!
ここ、使ってください」
と言うのです。しかも、隣ですでに寝ていた彼の友人も起こし、「ここも使ってください」と!
「いえいえ! 娘は一緒に寝るので一か所だけでも大丈夫です!」と遠慮したものの、青年は寝ぼけた友人を連れてそのまま仮眠室から出て行ってしまいました。
お陰で朝までぐっすりと眠ることが出来ました。もう一度感謝の気持ちをお伝えしたかったのですが、翌朝起きた時にはその男性たちはすでに出発しており、会うことはできませんでした。
当時のことを思い出すたび、優しい気持ちになることができます。今はどこで何をしているのか分かりませんが、きっと優しい気持ちを持った素敵な大人になっていることと思います。
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
自分も疲れているだろうに、Jさんの幼い娘を見て、譲ってくれたのだろうか。彼らのおかげで、Jさんたちの旅行の最後の思い出は、優しいものになったようだ。
Jタウンネットでは、読者の皆様から「旅先のほっこりエピソード」を募集している。
コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を一緒に振り返ってみるのはいかがだろうか。
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