「おい!プールにサメがいるぞ!」←映画ではなく現実です 危なくないの?水族館に聞いた
「『おい!プールにサメがいるぞ!!』
なんてB級サメ映画でしか聞く機会がなさそうな台詞を、実際に言えるのが"むろと廃校水族館"」
こんな呟きとともにツイッターに投稿されたのが、次の写真。
多くの学校にある25メートルプールに、黒いシルエットがいくつも浮かんでいる。
遠くからでは何が泳いでいるのかよくわからないが、近づいてみると......。
なんと、サメが泳いでいるではないか......!
これらはいずれも、ツイッターユーザーの銀鏡つかささん(@tsukarium)が2021年6月25日に投稿したもの。
なぜ、こんなプールにサメが...?
Jタウンネット記者は7月2日、「むろと廃校水族館」(高知県室戸市)を取材した。
サメのプールに人影?
「廃校水族館」という名前のとおり、同館は、06年に廃校となった旧・椎名小学校を改修し18年にオープンした水族館である。
大小2つの屋外プールや、校舎内に設置した水槽ではさまざまな魚たちが泳いでいる。
取材に応じた、館長の若月元樹さんによると、理科室にある流し(手洗い場)やAED(自動体外式除細動器)を収納する箱、跳び箱など、学校にあるさまざまな施設や用具を活用して魚たちを展示しているそうだ。
当然、例のサメが泳いでいたプールも、かつて体育の授業で使っていたもの。
来館者は、水槽のガラスごしではなくプールサイドからサメたちを鑑賞することができる。「魚たちの自然な色が見える」と、好評らしい。
しかも、よく見てほしい。写真の右のほうに人影が3つほど見えないだろうか。
人がいる場所とサメたちが泳いでいるエリアとの間に、柵や仕切りはない。それなのに、見るからに軽装備でプールに入っている人が......?!
子どもたちが入ってプール掃除も
若月さんに「プールに人が入っているように見えるのですが......」と尋ねると、
「そりゃあ、たまには掃除をしなければいけませんからね」
と、当然のように返されてしまった。どうやら写真に映った人たちは掃除をしているようだ。
「よく小学校とかで、プールの水位を下げてから子どもたちが裸足で入って、みんなで掃除したりするでしょう」(若月さん)
したような気もするが、それはもちろん通常の学校のプールであって、サメは泳いでいない。
まさか、水族館のサメが泳いでいるプールに、職員が同じように入って掃除している......?
「ええ、そうです。あとは、子どもたちからも希望があれば(その子たちに)やってもらっていますよ」(若月さん)
おそるおそる、「危なくないんですか?」と、聞いてみた。
「危ないサメがいるときはやらせないですよ、もちろん。でも、危なくないサメだけのときもありますから」(若月さん)
若月さんによると、プールの中のサメは毎日入れ替えがあり、種類や個体数も頻繁に増えたり減ったりする。入れ替えたサメは近隣の海へ放したり、同館内の別の水槽へ移したり、たまに他の水族館へ移動させたりもする。
毎日入れ替える作業は大変そうに思えるが、近隣の漁師の人たちからほとんど毎日新しいサメが届くので、そうしているそうだ。
また、生き物どうしの相性もあるため、いじめが起きたときなどもメンバーを変える必要があるという。
「今日は10種くらいいたと思いますが、明日にはまた変わっていますよ」(若月さん)
取材した日には、たとえばイタチザメ、アカシュモクザメ、ドチザメなど多くの種類のサメが泳いでいるとのことだった。
ちなみに、サメがいるプールにはウツボやタイなど、他の生き物も泳いでいる。でも、水族館のサメたちはきちんとエサをもらっていて満腹のため、他の生き物を襲うことはないそうだ。
「サメ」と聞くと、どうしてもサメ映画の危険なやつらを思い出して震え上がってしまうが、すべてのサメが危険なわけではない。
「サメがいるプール」はそんな知識を改めて体感できる、勉強になる展示だった。