ドッジボールより過激 ひたすらにボールをぶつけあう遊び「めちゃぶつけ」って知ってる?
誰もが一度は遊んだことがあるだろう、ドッジボール。
投げるのが得意な人、逃げるのが得意な人、外野から狙うのが得意な人......それぞれの性格がよく出る子どもの頃の定番の遊びだった。
そんなドッジボールによく似た、しかしもっとシビアな遊びが存在することを、ご存じだろうか。
これは2021年3月30日、ツイッターユーザーのyancya(@yancya)さんの投稿だ。
yancyaさんが「足立区ローカルかもしれないけど」として紹介しているのは、「めちゃぶつけ」という遊び。
ドッジボールのようにコートはなく、手近な人にボールをぶつけるというものらしい。ボールを拾った人が次の人にぶつけていき、またその次にボールを拾った人も誰かにぶつける......。確かに、本能のままにボールをぶつけている、極めて原始的な遊びだ。
この遊びについて、ボールを持った人が鬼となり、そのボールを当てられた人が次の鬼となる「ボール鬼」とは違うのか、というコメントもツイッター上では複数寄せられている。しかしそれに対し投稿者のyancyaさんは
「めちゃぶつけは鬼ごっこと違って、ボールを当てられたからといって次にボールを持つわけではなく、単にボールを拾った奴が次々に目に付いた奴にぶつけていくという荒さだったので、違うかも......」
とコメントしている。まさに弱肉強食の遊びだ。
全国にあるの?
Jタウンネット記者が4月2日に詳細を聞いたところ、投稿者のyancyaさんは1981年生まれ。小学生の頃から現在に至るまで、足立区在住だという。
1990年代生まれで神奈川県出身の筆者は、この「めちゃぶつけ」という遊びをやったことがなければ、聞いたこともない。もしかすると本当に足立区のローカルな遊びなのか......?
しかし、投稿に寄せられたコメントを見ているとこの遊びに心当たりがあるユーザーたちから
「東京の下の方ですが小学生の頃の20分休みはそればかりやってました」 「目黒区でもありました!」
「横浜市にはありましたね」
「川崎に同じ名前の遊びがあったようです。親の代だから、60年前くらいですね」
「東京の千代田区、練馬区、静岡の浜松市、北海道の函館市でも同じ遊びありました、名前も同じ。50年位前ですけどね...」
「多摩市でもありますよ 昨日もやってた」
といった声が寄せられていた。
主に東京や川崎、横浜といった近隣地域からのものが多いが、中には函館市にもあったという情報もある。世代についても、60年前から現在まで、幅広く「知っている」あるいは「やっている」ようだ。
また、「めちゃぶつけ」という名前ではないものの、
「70年代後半 愛知県の知多半島北部から名古屋南部では同種の遊びが『てんか(天下)』と呼ばれていました」
「千葉の八千代市では『ばらあて』という名前でやってましたが、あまり流行ってはなかったですね」
「兵庫県尼崎市では『バラあて』って呼んでましたね」
「京都では『ばら当て』と呼んでました」
と類似の遊びがあったといったコメントも寄せられている。
一方で、記者と同じく
「福岡ではそんな遊び聞いたことないですね」
「名前も知らなかったし類似のゲームもみたことないです。愛知県です」
という人も多い。
記者はこの遊びについてもう少し詳しく調べてみた。すると、1993年に発売されたドッジボールを題材にしたスーパーファミコンのゲームソフト「くにおくんのドッジボールだよ全員集合!」内にも「めちゃぶつけ たいせん」なるモードがあるらしいことが判明。
「センターラインがなく、外野もいない混戦型のゲーム」が遊べるというこのモード。今回ツイッターで話題となっている「めちゃぶつけ」の類似競技と考えて良いだろう。
また、明治図書出版が発行している教育雑誌「楽しい体育の授業」(2011年3月号)にも、
「伝承遊び 子ども熱中の面白メニュー」
として、めちゃぶつけが紹介されており、そこには「バラ当て」「天下」といった他の名称もあわせて掲載されていた。
そこでは、体育の授業用に
「ボールは3球」
「当てられたら舞台で待機」
「5分程度で終了」
といったようなルールが設けられていた。この遊びを活用して、子どものボールを投げる力や受ける力を育てるといったねらいがあるという。
また、目黒区にある「緑が丘児童館」の案内には
「めちゃぶつけやドッヂボールは、大人気で毎日欠かせないメニューです。体のぶつかり合いをとおして、あそびの中でおきたトラブルも、自分たちで解決していくことで、いろいろなことが学べます」
とある。
ずいぶんと物騒な球技のように感じていたが、こうして一工夫加えれば教育現場等でも活用できるようだ。
ゲームや授業内容にもなっていた「めちゃぶつけ」。
大人になった今だからこそ、改めて全力でやってみたくなる危険な香りのする遊びだった。