「こびりついたものを削り取る」←この動作を3文字で言い表せる方言があった
日本各地に存在する「標準語ではうまく説明できない方言」や「意味が限定的すぎる方言」。
地元であれば一言で意味が通じるのに、いざ標準語にしようとするとどう説明していいか分からない。
何とか言い換えても、細かなニュアンスが上手に伝わらず、もどかしい思いをしている地方民も多いとか。
Jタウンネットでは、そんな方言の情報を募集している。
今回は全国から届いている投稿メールの中から、「こさぐ」という方言を紹介する。
炊飯器や鍋の底にこびりついた米を取るとき...
読者から編集部にこんなメールが届いた。
「便利な山口県の方言に『こさぐ』があります。
炊飯器とか鍋などの底にこびりついた米等をこすって取る時に使い、この『こさぐ』のひとことでその仕草が伝わります」
神奈川県出身の筆者は「こそぎ落とす」ならば聞いたことがあるが、「こさぐ」は初めて聞いた。意味としては似ているようだが、響きは微妙に違う。山口県では「こさぐ」というだけで、意味が伝わるらしいが......。
その真相を知るべく、Jタウンネット記者はこの言葉を「日本方言辞典(小学館、ジャパンナレッジ版)」でひいてみた。すると
「こさげる」
という動詞の欄に、
「こさぐ」
は載っていた。
投稿にあるような
「こすって落とす」
「かき落とす」
「表面に付着しているものを、削るようにしてそぎ取る」
「削り取る」
の意味で使用しているのは、投稿があった山口県をはじめ、岡山県や島根県、鳥取県、広島県といった中国地方。また、京都府や兵庫県の一部や香川県や愛媛県の一部でも使用されているらしい。
また、同辞典によれば、この「こさぐ」という言葉は、場所によって少しずつ意味が変わってくる。
熊本県では
「三味線を弾く」
という意味、兵庫県や鳥取県、島根県、徳島県の一部では
「何も残さずすっかり取る」
「あるだけかき集める」
という意味でも使われるそう。
また、変化形として、三重県では
「残りものをみんな食べる」
という意味で「こしょげる」という言葉も使うようだった。
こしょげる...。内容はともあれ、使いたくなる可愛さである。
ちなみにツイッターを調べてみると、この「こさぐ」を
「焼き物した後のカスを取る時『こさぐ』って言わん?」
「じゃが芋に明太子にチーズ、好きな要素しかない料理でした。焦げつきを箸とフォークでこさいで食べました」
「カッターならこさぐの簡単なんだけどな」
といった形で使用している地元民らしきユーザーのつぶやきを見かけた。また
「『こさぐ』って標準語で何というんだろう...」
「『こさぐ』という言葉が西のほうしか通じないことを、うちの奥さんと話してて初めて知った」
と、「こさぐ」を方言だとは思っていなかった地元民も多いようだった。
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