ここに入る勇気ある...? 千葉の電話ボックスにへばりつく、巨大セミオブジェの謎を追う
正体は「ヒメハルゼミ」
3日、Jタウンネットは投稿者の千葉の猫汁さんを取材し、話を聞いた。
千葉の猫汁さんが、このオブジェを撮影したのは1日の14時頃。
「元々、オブジェのすぐ近くのラーメン屋に良く通っていたので存在自体は数年前から知っていました。
その日もそのラーメン屋で昼食を食べた帰りに『そういえばオブジェがあったな』と何気なしに寄って撮影し、話のネタになるかな?と思い投稿しました」
とのこと。オブジェについての感想を尋ねると
「数年前に初めて見た時は確か、驚きと笑いが一番に来ました。
小さい子どもは下手したら泣くんじゃないかな?とも思いましたね」
とコメントした。確かに、子どもだったらトラウマもの......かもしれない。
この巨大なセミは、千葉県茂原市八千代にあるそうだ。
20年9月29日の千葉日報オンラインによれば「旧NTT茂原支店が1992年7月、『ヒメハルゼミ』を模して制作」したとのこと。
日本大百科全書(小学館、ジャパンナレッジ版)によると、ヒメハルゼミは「体長25~30ミリの小形で細身のセミ」。透明なはねと、オリーブ色の体に黒い斑紋を持つという。
Jタウンネットは、このオブジェができた経緯についてNTT東日本に取材を試みたが、
「(ヒメハルゼミのオブジェについて)ぜひお答えしたく経緯などたどってみましたが、既に記録がなくなっており、当時の関係者も既におらず、大変恐れ入りますが、取材をお受けすることが難しい状況です」
との回答が。残念ながら詳細を知ることはできなかった。
いったいなぜ、「ヒメハルゼミ」のオブジェは作られたのか。
Jタウンネットが調査を進めたところ、茂原市はヒメハルゼミ発生地であるということが分かった。市内にある「鶴枝(つるえ)ヒメハルゼミ発生地」は、国の天然記念物に指定されている。
県のウェブサイトには、
「鶴枝の発生地は、茨城県片庭、新潟県能生とともにヒメハルゼミの北限として指定された。また、ヒメハルゼミは明治35~6年にこの森で初めて発見・採取され、学会へ紹介されたもので、学名にも『chibensis』と付けられた由緒ある場所でもある」
との記載もあった。どうやら、ずいぶんと茂原市はヒメハルゼミに縁ある場所のようだ。
とはいえ、本来は小型なセミらしいヒメハルゼミを、なぜあんな巨大なオブジェにしたのか、謎は深まるばかり。
だが、その謎がまたこのオブジェの「よさ」を引き立てているのかもしれない......。