道民のソウルフードに斬新フレーバー登場 「札幌みそラーメン風」のやきそば弁当って、一体どんな味?
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第四十九回 「やきそば弁当」の「いつもよりちょっと濃いめ」と「札幌みそラーメン風」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第四十九回目となる今回は、北海道のソウルフード「やきそば弁当」シリーズの新商品2種類、「いつもよりちょっと濃いめ」と「札幌みそラーメン風」をレビューします。
北海道のソウルフード「やきそば弁当」の新商品2品
「やきそば弁当」は、北海道限定で発売されているカップ焼そばで、北海道のソウルフードとして全国的にも知られています。
地元での絶大な支持に加え、北海道土産品としても重宝される、地元を代表し過ぎて他が追いつけないほどの存在。通常のソース味の他にも多くの種類が存在し、期間限定の味も度々登場、地元では「やき弁」の名で親しまれています。
他社のカップ焼そばに比べるとやさしい味で、麺を戻したお湯で作る塩気強めの「中華スープ」と一緒に食べることで、焼そばもスープも最適化されるのが大きな魅力です。(以前の記事「道民のソウルフード『やきそば弁当』の魅力 ペヤング・UFOとの違い、比較してみると...」で、やきそば弁当の魅力を「ペヤング」や「UFO」と比較して考察しています。)
「やきそば弁当」は1975年8月発売。20年に45周年を迎え、感謝の気持ちを伝える商品として「いつもよりちょっと濃いめ」という期間限定の商品が発売されました。
「いつもよりちょっと」という謙虚な姿勢が、シリーズが45年も続く秘訣でしょうか。
さらに、北海道名物のカップ焼そばから「札幌みそラーメン風」という北の都札幌の名物ラーメンを再現した商品も同時発売。こちらも本気度が高そうです。
どちらの商品も地元北海道ではスーパーやコンビニに特設コーナーができるほどの人気で、山積みにされた両商品を多く見かけることができます。
今回はこの「やき弁」の新種2品をレビューし、魅力に迫っていきます。
内容物を確認
まずは両商品の内容物を確認します。どちらも別添袋は3つで、カップには麺のみ入っています。
「ちょっと濃いめ」はいつもの中華スープが付いていますが、「札幌みそラーメン風」はいつもと違う「白湯スープ」が付いていました。また、「札幌みそラーメン風」は麺もいつもと違って黄色くて太めです。
しっかり濃いやき弁!「やきそば弁当 いつもよりちょっと濃いめ」
まずは、「やきそば弁当 いつもよりちょっと濃いめ」から食べていきます。いつものやき弁の味を濃い味に仕上げた商品とのことです。
ソースを濃くすることで、元の味とはまったく別物になってしまったり、もしくはソースを濃くすることにコストが割かれた結果、麺や具にコストカットの影響が見えてしまうこともありそうですが、今回の商品はどうなのでしょうか。
ソースに縮れのついた中細麺を合わせ、具には鶏肉ミンチ、キャベツ、青のりと紅生姜のふりかけ。そして戻し湯で作る中華スープが付いています。
この構成はいつもの「やきそば弁当」とまったく同じで、ほとんど違いはないように見えます。
麺や具の量にも大きな違いは見られず、いつものやき弁と違うのはどうやらソースだけのようです。
実際に「ちょっと濃いめ」といつものやき弁を比べてみると、ソースの色の違いは歴然で、確かに「ちょっと濃い味」のソースは色が濃いことがわかります。
また、いつものやき弁は比較的さらっとしているのに対し、「ちょっと濃いめ」のソースはどろっとしていました。
ソースを濃くすると、酸味とか甘みが強くなって派手な味に変化しそうですが、派手さは抑え、やき弁らしいやさしい味を損ねない形で濃くなっています。それでいてハッキリわかる濃さになっており、「ちょっと濃いめ」ではなく「しっかり濃いめ」のソースでした。
ただ、いつものやき弁ソースも捨て難いものがあり、塩気の強い「中華スープ」と合わせて食べるのに相性が良いのは、やさしい味の本家の方でした。やき弁ソースと中華スープは長年の名コンビですからね。
ソース以外には違いは見られず、ソースを濃くしたことによって他の部分が弱体化しているようなこともありませんでした。
ソースが濃いのが良いか、いつものやさしい味が良いか、自分の好みで選んで問題なしです。
北海道名物が札幌名物を再現!「やきそば弁当 札幌みそラーメン風」
続いては、「やきそば弁当 札幌みそラーメン風」。北海道名物の「やき弁」が、札幌名物のみそラーメンの味を再現した商品。
北海道と道都・札幌の強力タッグかと思いきや、この商品を製造している東洋水産北海道工場は小樽市にあり、北海道と札幌、小樽による三角関係にハラハラドキドキです。
味噌味のソースに太くて縮れた油揚げ麺が合わせられています。
具は挽肉、コーン、キャベツ、ごまや白胡椒の入ったふりかけ。麺は札幌味噌ラーメンをイメージした黄色味が強いものになっており、北海道らしくコーンも合わせられています。
味噌の強い香りに加え、生姜やニンニクのパンチが効いており、やさしい味のやき弁らしからぬ、派手めな味わいのソース。ごまと白胡椒のふりかけでさらに風味豊かになります。
味噌味のカップ麺は濃くて塩気も強いものが多いですが、この商品のソースは派手な味の割に塩気は穏やかで、このあたりは「やき弁らしい」部分と言えるかもしれません。
いつものやき弁には中華スープが、一部他の味にはコンソメ-スープが付いていますが、この商品についているのはシリーズ初登場となる「白湯スープ」。
鶏白湯のような乳白色ではなく、ちょっと澄んでいるようにも見えます。
豚鶏野菜混合のだしで、これといった特徴は見出だせませんが、いつもの中華スープに比べると塩気が穏やかで、派手めなソースを引き立てるために組み合わせられた味だと感じました。
やき弁を食べて北海道旅行気分に
北海道のソウルフード「やき弁」の新味2種類を食べてきましたが、北海道限定というパイの小ささにもかかわらず、ここまで作り込んだ新商品を作り出せることに、やき弁の人気の高さが改めて窺い知れました。
やきそば弁当は通販サイトなどで購入でき、スーパーの北海道フェアなどでも扱われていることが多いです。
やき弁を食べて北海道旅行をした気分になるのも悪くないのではないでしょうか。