可愛すぎる「カービィのえきべん」が話題 でも、なんで岡山?メーカーに取材すると、厳しい現実が明らかに...
1992年に任天堂から発売されてから根強い人気を誇るゲーム「星のカービィ」。
その主人公であるカービィは、ピンク色で、丸いフォルムの可愛らしい見た目から、キャラクターとしても人気が高い。
そんなカービィの可愛い駅弁が売られていたとツイッターで話題になっている。
これは、ツイッターユーザーの高山(@tokidol548)さんによる2021年1月17日の投稿。
「岡山駅」の駅弁として販売されているのは、駅員の帽子を被ったカービィの形をした弁当箱だ。
その名前は、見た目の通り「カービィのえきべん」。様々な種類の弁当を手掛ける三好野本店(岡山市)が製造販売しているものだ。
カービィのファンでなくても思わず手に取りたくなってしまうほど可愛い駅弁に、ツイッターでは
「なにこれ!?!? ほしーーー!!」
「岡山行かなきゃ......」
「うおおおおおお!なんて!なんて可愛いんだ!!!」
「めちゃくちゃ欲しい 食べたい」
といった反応が寄せられている。
なぜカービィが「岡山駅の駅弁」に?
Jタウンネットが1月19日、投稿者の高山さんに話を聞いたところ、この「カービィのえきべん」を見かけたのは1月17日。
1月7日から20日まで、京王百貨店 新宿店(東京都)で開催されていた「元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会」の会場でのことだったという。
実は高山さんのお目当ては別のお弁当で、そのときはこの「カービィのえきべん」は購入しなかったそう。しかしその見た目の可愛さに思わず写真を撮影したとのことだった。
Jタウンネットはこの駅弁の詳細を知るべく、製造販売元の三好野本店にも話を聞いた。
同社の営業担当者によれば、「カービィのえきべん」の販売を開始したのは2019年9月。
「9月13日から16日まで4日間、東京駅でカービィ東京イベントを実施し、9月17日から30日までの2週間、東京駅駅弁屋『祭』にて先行発売をさせていただきました」
とのこと。
また、企画の経緯については
「毎年カービィのイベントが名古屋・東京・大阪で開催されており、当初はそれの限定コラボ企画としてお話をいただきました。
ですが、名古屋会場でプレス発表した際に反響が大きかったこともあり、一般販売するようになりました」
とする。
同社のウェブサイトによると、駅弁の中身は
「チキンライス、薄焼き玉子、ハンバーグ(デミグラスソース)、星形人参、彩り野菜のコンソメ煮、鶏の唐揚げ、ポークウインナー、スモークポテトサラダ(いぶりがっこ入り)」
となかなかのボリューム。見た目だけでなく、お腹も満足できそうだ。
しかし、駅弁大会では、「カービィのえきべん」は岡山駅の駅弁として販売されていた。
いったいなぜなのか。岡山とはあまり関係がなさそうだが......。
岡山県民と思われるツイッターユーザーからも
「うちの県何かカービィにゆかりがあったっけ...」
という声が上がっている。
疑問に思い尋ねると、三好野本店が岡山県の会社であるからだ、と回答があった。
担当者は、
「(「カービィのえきべん」が岡山駅の駅弁であることに)違和感を感じられるのは当然だと思いますが、まず駅弁として販売するためには『販売している駅名』が必要です。
そのとき製造メーカーの地元駅で登録をしていませんと、弊社が販売したくても発注が止まった時点で製造中止せざるを得なくなります。
たとえば、東京駅で販売していただくには、駅構内で売店を運営している東日本フーズ様とか東海キヨスク様等から発注をいただき、納品させていただく流れとなります。ですから、発注が止まれば弊社の駅弁は納品できなくなり、そうなりますと販売をしていないのに『東京駅の駅弁』とは名乗れなくなるのです。
しかし『岡山駅の駅弁』としていれば駅構内に弊社の直営売店がございますので、たとえ売れゆきが悪くても毎日販売を続けることができるため、『岡山駅の駅弁』を名乗ることができるということです。
東京駅では卸業者、岡山駅では販売業者であるというのが最も大きな違いになります。
ですから弊社は他におしりたんてい弁当やガチャピン・ムック弁当など計8種類のキャラクター弁当を製造・販売しておりますが全て『岡山』の駅弁です」
と説明。
なるほど、一見岡山とは無関係に思える「カービィのえきべん」が岡山県のものだったのは、こういう理由だったのか。
コロナ禍で売り上げが前年の3割に
ではこの「カービィのえきべん」は、どこで購入できるのか。
担当者によれば、現在はコロナ禍の影響で売店等では販売しておらず、三好野本店のECサイトのみでの取り扱いとなっているとのこと。
また、「カービィのえきべん」だけでなく駅弁全体の売り上げが落ち込み、大変厳しい状況にあると話す。
実際に、「カービィのえきべん」がコロナ禍で受けた影響を聞くと
「地元も含めて販売先がなくなりました。京王百貨店の駅弁大会等は一過性ですから」
と担当者。販売数については
「19年9月から20年4月は駅弁大会シーズンで、2月後半からコロナの影響を受けましたが、約1万個、販売させていただきました。 しかし20年9月から21年1月終了時点で2200個となっており、 この先2~4月もほとんど期待できません。ざっくりですが前年対比3割程度で推移しています」
とのこと。
コロナ禍における旅行自粛、外出自粛の影響は駅弁業界にも暗い影を落としているようだ。
なお、今回この駅弁がツイッターで話題となっていることの感想を尋ねると、担当者は
「ツイッター上で話題となっていることは歓迎いたします。
そのことによってカービィのグッズ等の売上が上がり、注目を浴びていただければ波及効果として『カービィのえきべん』を扱っていただけるショップ等が出てくるかもしれません」
とコメントした。