「お前ら付き合ってるんだろ?」 ラブラブすぎる川崎のアトレ&ラゾーナ、その「なれそめ」を聞いてみた
もしかして付き合ってるの......?
思わずそう疑ってしまいたくなるほど仲のいい商業施設が、ツイッターで話題になっている。
いったいどういうことなのか、まずはこちらをご覧いただきたい。
これは、2021年2月9日、即興劇をメインに活動を行っている神奈川県在住の俳優、ベルヨシダ(@bell_yoshida)さんが
「付き合ってんだろ?」
とコメントをして投稿した画像だ。
映っているのは、いずれも川崎駅(神奈川県川崎市)の駅前にある商業施設の「アトレ川崎」と「三井ショッピングパーク ラゾーナ川崎プラザ」が、それぞれ掲出している休館日のお知らせの貼り紙である。
どちらも休館日が大きく書かれていて、よくある商業施設の貼り紙......のように見える。
だが、疑惑が浮上してしまったのはその下の表記のせいだ。
書かれているのは、
「ご不便をおかけしますが休業日当日はラゾーナさんでお買い物をお楽しみください」
「ご不便をおかけしますが休館日当日はアトレさんでお買い物をお楽しみください」
という文章。
アトレ川崎の案内では「ラゾーナさん」の文字を極めて小さい文字に、ラゾーナ川崎プラザの方ではは「アトレさん」の文字を極めて薄い色にして、印刷している。
お互いの施設を利用するように誘導しているのか、いないのか、微妙なところである......。
また、アトレ川崎の貼り紙では、赤いズボンを履いて「崎」と書かれたTシャツを着たアトレ川崎の代表らしきキャラクターが
「ラゾーナさんを宜しくお願いします」
と頭を下げている。しかしこれもまたラゾーナさんの文字が読むのが大変なほど小さいため、「川」と書かれたTシャツを着て緑のズボンを履いたラゾーナ川崎プラザの代表らしきキャラクターに
「いや、来させる気ないな?」
と咎められている。
一方で、ラゾーナ川崎プラザの貼り紙ではラゾーナの代表らしき「川」の男性が
「何だか印刷機の調子が悪くて...」
と頭を下げており、「崎」の男性に
「アトレだけ薄いとかある?」
とツッコミを入れられている。
まさに喧嘩するほど仲が良いといった感じだ。服装もペアルックだし......。
同じ駅前に隣接している二つの施設の、意外にも仲睦まじい様子にツイッターでは
「匂わせツイートやめて下さい!」
「こういうことできる関係っていいよね」
「見事な熱愛ぶり」
「めちゃめちゃイケてる。面白い」
「川崎の絆」
といった反応が寄せられている。また、
「付き合っていたら同じ日に休むのでは」
といった冷静な分析(?)をしたコメントも多く見られた。確かに......。
19年からタイアップを実施
この貼り紙について、Jタウンネットは10日、投稿者のベルヨシダさんに話を聞いた。
ベルヨシダさんが貼り紙を見かけたのは9日の18時頃。
「先にラゾーナさんのポスターを川崎駅コンコースから入れるエスカレーター脇で見つけました。その後、反対側のアトレさんのコンコースからの入口でシャッターに貼られているのを見かけ撮影しました」
と、経緯を説明する。
普段から、アトレやラゾーナをはじめ、駅前の商業施設をよく利用しているというベルヨシダさん。この貼り紙を見たときの感想を尋ねると
「駅を挟んだ隣接した競合施設のはずなのに、街ぐるみと言う視点から互いにいやいやながらもライバル施設を勧めてる、洒落の効いた表現がツボにハマり、思わず笑ってしまいました」
とコメントした。
Jタウンネットは同日、アトレ川崎にも取材をし、販促の担当者から話を聞いた。
実は2019年6月から「川崎駅前お買い物活性化プロジェクト」としてタイアップしているという二施設。
「別の施設ではありますが、川崎駅前の西と東の玄関口として何かできればと思い、この企画を始めました。年末年始を含めて年に3回、休館日のお知らせを掲示する際にはこうしたコラボを行っています」
と担当者は話す。また、
「お越しいただくお客様にくすっと笑っていただければ」
という思いで、このようなユニークな内容にしているそう。
このプロジェクトは、19年の9月に二館連動で「スタミナ肉祭」を開催するなど、盛り上がりを見せていた。
しかし、いよいよ本格的に展開していこうとしたタイミングでコロナ禍となってしまい、現在はひとまずこういった貼り紙がメインとなっているとのこと。ただ、21年の正月にも、二館合同で地元の新聞に広告を掲出するなど、勢力的に、また仲睦まじくコラボしているようだ。
仲が良いのは二施設だけではない
アトレ川崎やラゾーナ川崎プラザ以外にも、多くの商業施設が立ち並ぶ川崎駅前。
担当者によれば
「元々、川崎駅前の商業施設は横の繋がりがとても強いんです。駅前には10館の施設があるんですが、ラ チッタ デッラさんを中心に開催しているハロウィンイベントをはじめ、皆さん街の取り組みにもとても積極的で、一緒に川崎を盛り上げていこうという意識があります」
とのこと。
直近でいえば20年の緊急事態宣言が明けたあと、施設を再開する際や駅前商業施設の「川崎ルフロン」内に川崎水族館がオープンした際などに、共同でメッセージ広告を掲出したそうで、駅前施設全体の雰囲気の良さが伝わってくる。
今回、ツイッターで休業のお知らせの貼り紙が話題となったことについて、担当者は
「以前から、ラゾーナさんとのこういった貼り紙について、好意的なご意見をいただいているのは拝見していて、私たちもとても励みになっていました。ですが、こんなに話題にしていただけたのは初めてなので、とてもびっくりしました」
と感想を述べる。また、
「川崎は、地元の皆さんの川崎愛をとても感じる場所だなと日頃から強く感じます。
私たち商業施設も、みんなで協力しあって、もっと皆さんに川崎を好きになって、楽しんで頂けるような取り組みをしていければと考えております」
ともコメントした。
なお、Jタウンネットはラゾーナ川崎プラザにも同様に取材を試みたが、「貼り紙が掲示されているのは事実」とした上で、現在取材に応えるのは難しいとのことだった。