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「まあ、隣にスワンなよ」 お悩み相談中?池の前にたたずむ人間とオオハクチョウの友情に反響

松葉 純一

松葉 純一

2021.01.25 06:00
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水辺に集う野鳥を見ていると、なぜか心が安らぐものだ。さまざまな種類のカモ、バンなどが群れをなして飛び回っている。鳴き声を上げながら、せわしなく移動する彼らを無視するように、悠然と動く、ひときわ大きな白い鳥がいる。白鳥だ。正確にはオオハクチョウと呼ぶらしい。

このオオハクチョウについて、2021年1月12日に投稿された、次のようなツイートが話題となっている。

写真は、1羽のオオハクチョウと肩を並べて座る、1人の男性の後ろ姿を捉えている。水辺に座り込んだ1羽と1人、まるで話し込んでいるようにも見える。「悩み相談した」というコメントが添えられている。「イイやつでした」ということだ。

ハンセン(@team_reo_)さんが投稿したこのツイートには、11万9000件の「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(1月19日夕現在)。

ツイッターにはこんな声が寄せられている。

「物言わぬ友との語らいって感じですね」
「ホッコリする」
「私も相談したいっ」
「まあ、隣にスワンなよ。 話聞くよって?」
「保険の相談かと思った」

がん保険のCMを連想してしまった人も多かったようだが、あちらとはちょっと種類が違う。何度も言うが、こちらはオオハクチョウだ。

「小さくケェー...って言って遠くを見るんすよ、こいつ」

ハンセン(@team_reo_)さんのツイートより
ハンセン(@team_reo_)さんのツイートより

ハンセンさんは別ツイートで、こうつぶやいている。

「俺がどんな悩みを話しても、俺は鳥だからと言わんばかりに、小さくケェー...って言って遠くを見るんすよ、こいつ。 なんか元気でました」

オオハクチョウの対応に、ハンセンさんはなぜか元気をもらったらしい。

「何年も前からここにいるんですよこのオオハクチョウ。 普段は安易に近づいてくる子供を怒鳴り散らかしてるんですけど、今日は相談に乗ってくれました」
「この白鳥とはまあまあ友達なので相談乗ってくれてますが、知らんやつが安易に近づくと普通に襲われるし、鳥のくせにめっちゃ噛んでくるので、真似しないでください(餌付けもダメよ)」
「昔は夫婦で仲睦まじくしてたんですが、病気で妻に先立たれ、今は文字通り独りやもめなんですよ。歳とって昔よりは落ち着いてるのかも知れませんね。 それでも相変わらず子供どつき回してますが......」

これらはすべて、ハンセンさんがツイッターに投稿した言葉。

友人のオオハクチョウのことが、ハンセンさんは大好きなようだ。

ハンセン(@team_reo_)さんのツイートより
ハンセン(@team_reo_)さんのツイートより

オオハクチョウは、いつごろからここに住んでいるのだろう。

渡り鳥であるはずのこの鳥が、この場所にとどまる理由は?亡くなったというつがいのオオハクチョウとは、どのように過ごしていたのだろう......?

気になったJタウンネット記者は、公園の管理事務所に電話で取材することにした。

1997年4月から飼育してきたが...

オオハクチョウ(写真はJタウンネット記者撮影)
オオハクチョウ(写真はJタウンネット記者撮影)

電話で答えてくれたのは、管理事務所の担当者だった。

「あのオオハクチョウは1997年4月、今から20年以上も前に、オス、メス夫婦で、寄贈されたものです。それ以来、管理事務所が飼育をしてきましたが、2015年6月にメスが死亡しました。死因についてはよく分かりません」

20年弱連れ添った妻を亡くして、オオハクチョウは6年ほどの間、1羽でいるようだ。

渡り鳥のオオハクチョウが飛び立っていかないのは、飼育に慣れてしまったためかもしれない。ときどき池の中に姿が見えないこともあるが、近くの藪の中に潜んでいるらしく、しばらくすると、池に帰って来るそうだ。

飼育員にはすっかりなついているが、知らない人には警戒心を見せることが多いようだ。「人に向かってくることがあるので注意してください」という掲示が立てられているのは、そのためだという。また「お菓子・スナック類を与えないでください」という掲示板もあるが、健康のへ被害や水質悪化を防ぐためらしい。

ところでこの公園はどこ? と知りたい読者もいるかもしれないので、「千葉市」とだけ、お伝えしておこう。他意はない。ハンセンさんの友人の、静かな生活を守ってあげたいから......。

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