A5和牛が食べ放題...だと? SNSで話題沸騰の焼き肉店で、100分間「和牛まみれ」になってきた
肉好き、集まれ――!
東京・秋葉原に、オープンした焼き肉屋がトンデモナイ人気を誇っている。なんでもA5ランクの和牛が「4980円」(税別)で「食べ放題」だというのだ。
そのお店は「和牛放題の殿堂 秋葉原 肉屋横丁」。
2020年11月16日、JR秋葉原駅の商業施設「BiTO AKIBA」3階にオープンするやいなや、SNS上で注目の的に。ツイッターには、肉の写真とともに
「めちゃ美味しいのにちゃんと食べ放題」
「予想を遥かに超える美味しさだった」
「この値段で、美味しい肉を食べ放題で食べれるのは至高」
といった声が寄せられている。
その人気の秘訣は、どこにあるのだろうか。詳細が気になった肉好きの筆者は12月中ごろ、秋葉原へ足を運んでみることにした。
和牛!和牛!和牛!
商業施設「BiTO AKIBA」は、JR秋葉原の電気街口から徒歩1分の場所にある。噂の焼き肉屋は、その3階に店を構えていた。
エレベーターのドアが開くと、「肉屋横丁」の看板が見えた。
お店は2業態で、エレベーターから出て向かって右にあるのが「和牛しゃぶしゃぶ オーダーバイキング店」、左が「和牛食べ放題 精肉対面販売焼肉店」。今回の目当ては、左側にある焼き肉店だ。
お店に入ると、正面に精肉店のようなショーケースが設置されていた。
見るだけで、美味しさが伝わってくるようだ。早く食べたい...、と思いながら筆者は案内されたカウンターに座った。
食べ放題コースは2つ。制限時間は100分だ
この店の食べ放題のコースは、2つある。
食べられる肉の種類で「和牛まみれコース」と「肉まみれコース」とわかれており、どちらも100分制。ラストオーダーは終了20分前だ。
肉が並ぶショーケースはAとBの2種類があり、「和牛まみれ」ならAとB両方、「肉まみれ」ならBのケースの肉が食べ放題だ。ソフトドリンク飲み放題とアルコール飲み放題のどちらかを選べる。
筆者が選んだのは「和牛まみれ」。ソフトドリンク飲み放題付き(4980円)のコースである。つまりアルコール飲料以外、ぜんぶ食べ飲み放題ということだ。
コースを選ぶと、始めに3品の「スターターセット」がカウンターにやってきた。「本気焼肉盛り合わせ」と「こだわり手巻のユッケ」、「焼肉がすすむケールサラダ」である。
まずはケールサラダをつまみながら、盛り合わせの肉をジュージュー焼く。
トングでサーロインを掴み、スーッと網に置く。焼いたのは、10秒くらいだったろうか。やわらかみがあってきめ細かい霜降りの肉は、あっという間に食べごろに。
たっぷりの脂が口の中に広がり、脂の甘さと肉の旨みが絶妙に混ざり合った。ただただ、美味しい。
肉とユッケ、サラダをパクパク。のどが乾いたら、ドリンクバーへ。
15分くらいで、スターターセットを平らげた筆者。残りの時間は、さらなる和牛たちと向き合うことにしよう。
これからが本番なのである。
例のショーケースに「和牛手形」なるものを持って、いざ「和牛まみれ」に。
皿から溢れんばかりの、和牛たち
手順としては、大・中・小の3サイズが用意された銀の皿から、どれかを選んで、調理スタッフに肉の名前(番号)と枚数を伝える。名前の横に赤い札で「限定品」と書かれているモノは、1回の注文に1枚までしか皿に盛ってもらえない。
といっても、食べた後にならもう一度注文することができる。
塩にするか、それともタレにするかも自分で決める。スタッフが相談に乗ってくれるため、肉に合った味付けで食べることができる。
牛タンと上カルビには塩。残りはタレにしてみた。
肉を選んだ後は、銀の皿を自分の席に持ち帰って、ひたすら食べるだけだ。
たとえば、こんな風に...。
厚切り牛タンステーキの、厚みが伝わるだろうか。噛むたびに口の中に広がるジューシーな旨みが、最高である。
サイドメニューも豊富!
肉を焼き、食べる。基本はこの繰り返しだが、サイドメニューも食べ放題だ。
キムチはもちろんのこと、サラダやご飯類、スープ、麺など...。トッピングも豊富で、塩ねぎや生卵、韓国のりだってある。
だったら、オン・ザ・ライスだろう。マンゴー状にカットされた和牛カルビを...。
一心不乱に食事を続けていると、チリンチリンと鐘が鳴った。終了の合図...ではなく、実は揚げ物ができたというお知らせで、欲しいお客にスタッフが配ってくれるのだ。
ただ筆者は「和牛まみれ」になりたかったので、再び「手形」を持ってショーケースへと向かった。
肉のお替りにいくこと、2回。たっぷりの肉を食べた後は、デザートに杏仁豆腐を食べて、心も体もスッキリ。
いやはや、大満足。100分間は、あっという間に過ぎ去ってしまった。
食べ続けて...、食べ続けて...、お値段は4980円(税別)。
なぜ、このような価格で「和牛食べ放題」を提供できるのだろうか。
Jタウンネットは、運営会社の平城苑(東京都足立区)に詳しい話を聞いてみた。
安さの秘訣は...?
平城苑は関東を中心に焼き肉チェーンなどを複数運営する企業。取材に応じた商品開発部の担当者は、安さの秘訣は同社の「仕入れ方法」にあると説明する。
「平城苑の特徴である『和牛一頭買い』という仕入れ方法は、牛一頭分丸ごとすべての部位を仕入れるため生産者様側に大きなメリットがあります。
また、数か月先の分まで買い抑えていることや、月間平均50頭以上の購買実績により卸し価格自体を抑えていただいています。
そのメリットを最大限お客様に還元し、他社様より低価格で(牛肉を)提供しています」
同社は、19年11月に「東京焼肉平城苑秋葉原店」をオープンしたもののコロナの影響でインバウンド需要が激減。20年3月に休業を余儀なくされたという。
休業中の店舗維持だけでもコストがかかり「このままお店を閉め続けるなら何か思い切ったことをやろう」という発想に。商品開発部の担当者は、こう続ける。
「弊社には和牛一頭買いによる潤沢な和牛希少部位があったので、これをすべて食べ放題で提供するお店があったら、絶対他ではまねができないコストパフォーマンスのお店になるという自信がありました。
そこで、思い切って和牛食べ放題に業態変更してリニューアルオープンをいたしました」
和牛を1頭買いすることによって、お客さんだけなく、お店、そして生産者にもメリットがありまくりの施策だったのだ。
また「和牛まみれ」になりたい...、そう思った筆者であった。