これぞ戦跡の有効活用だ... 温泉への通路に「防空壕」を使っている旅館が、静岡にあるらしい
2020.11.15 20:00
会議室や貯蔵庫として使われていた
防空壕の中にある温泉とは、たしかに珍しい。Jタウンネット編集部は11月10日、大東館に取材し詳しい話を聞いた。取材に応じたフロントスタッフの伊藤晴美さんはこの防空壕について、
「第二次世界大戦時に、日本陸軍の部隊が実際に会議室や物資の貯蔵庫として使っていたとされています」
と説明した。また、大東館の公式サイトでは防空壕について、
「第2次世界大戦が終盤を迎えていた昭和18年頃、陸軍第22工兵部隊(暁部隊三中隊)が敵の空襲や上陸に備えて、国民の避難をはじめ、弾薬や物資の貯蔵を目的に、熱海市網代から伊東市内に約30ヶ所掘られたうちの1つであります。
総延長は300メートルあり、八方に出入口が設けられて、一部にはコンクリートで固められた通路と会議のできる部屋もあり、本部機能をもった防空壕とされております。現在の部分は入り口の一部にあたります」
と記載されていた。
それにしても、どうして防空壕が温泉までの通路になっているのだろうか?
伊藤さんは「防空壕五右衛門風呂」ができた経緯について、
「3年ほど前に旅館のオーナーが変わってしまい、資料もあまり残っていないため詳しい年月日などは不明ですが、以前に大東館の新館を建てる際にこの防空壕が発見され、当時のスタッフがそのまま温泉までの通路として活用することを決めたようです」
と話した。
かつて使われた戦跡を見物しながら、温かい温泉で疲れを癒す。温泉好きの人にとっても歴史好きの人にとっても、「防空壕五右衛門風呂」は恰好の観光スポットになるのではないだろうか。