東京のスーパーに並ぶ気仙沼産「サメの心臓」が話題に 鮮度が命の珍食材、どうやって仕入れているの?
「モウカの星」、という食べ物をご存じだろうか。知っている人は、相当の食通と言えるだろう
あるいは、宮城県、岩手県の人なら、ニッコリうなずくかもしれない。宮城県気仙沼市などで食べられている郷土食だが、仙台の居酒屋などで、これが出てくると、グッと盛り上がる、究極の珍味だ。
「星」となんともロマンチックな名前が付けられているが、実はネズミザメ目ネズミザメ科に属するサメ「もうかざめ」の心臓のことである。
2020年9月2日、なんとこのモウカの星、サメの心臓が販売されていると、東京都台東区のJR御徒町駅前の鮮魚店・食品スーパー「吉池」の「非公式だけどほぼ公認」アカウントから投稿され、話題となっている。
写真は、サメの心臓だ。人によっては、「閲覧注意「かもしれない。解剖図か何かで見た記憶がある?そう、あの心臓そのまんまだ。サメの心臓も、人間の心臓に似ているのだろうか。
値札には、宮城県気仙沼産「さめ」と記されている。投稿には石巻産とあるが、気仙沼産が正しいようだ。「サメの心臓 入荷です」というコメントが添えられたツイートには、2万5000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(9月3日夕現在)。
ツイッターにはこんな声が寄せられている。
「モウカの星は足が速いので 東京で店頭に並ぶのは凄いですね」
「仙台のスーパーでもたまに見かけることはあるのですが、東京でも手に入るとは思いませんでした。コリっとしていて、ウマいんですよね」
「鮫の心臓をたべたい」
また、「え?サメの心臓って食べれるの?!」「初めて見た!」「どうやって料理するんだこんなもん」など驚くユーザーも多い。
Jタウンネット編集部は、9月3日、ツイートを投稿した「吉池」(@yoshiike_group)の中の人、同店従業員の「吉池ばぁば」に詳しい話を聞いた。
捕れたばかりのサメの心臓、豊洲へスピード輸送
「サメの心臓」は鮮度が命だというが、吉池はどのように仕入れているのだろうか? 吉池ばぁばは電話でこう答えた。
「気仙沼漁協で水揚げされたサメの心臓を氷漬けにして、袋に密閉された状態で出荷し、豊洲市場に運び、翌朝、競りにかけられたものを、弊社のバイヤーが仕入れているそうです」
サメの心臓を、このやり方で仕入れるようになって、1年半ほど経つという。
気仙沼で捕れたサメの心臓を、豊洲市場へスピード輸送する。これには「復興道路」とも呼ばれる三陸自動車道の整備が、大きく貢献しているようだ。20年2月には、気仙沼中央ICから気仙沼港ICまでの区間も開通し、さらに時間短縮された。三陸の珍味「モウカの星」もこうやって、東京・御徒町の店先に並べられるのだ。
「仕入れができると、なるべくツイッターでお知らせするようにしています」と、吉池ばぁば。珍しい食材を、より広く一般の方々にも知ってもらうことが、このツイッターアカウントの目的の一つだという。宮城県出身者や飲食店のプロには充分知られている「モウカの星」も、まだまだ一般的には知られているとは言えないないからだ。
またツイッターには、「自分はこう調理して食べたよ」というリプライが返ってくることが多いそうだ。そういった双方向のコミュニケーションも楽しいという。
例えば、こんな写真付きの報告が届くことも......。
「サメの心臓」の場合、お刺身だけでなく、お寿司、天ぷら、フライ、塩焼きなど、和洋さまざまなレシピが公開されることもあるそうだ。
「なじみのない魚も、食べてみれば美味しいですよ」
吉池ばぁばの、やたらイキの良い証言には、なぜか説得力があった。