北海道のきびだん「ボ」...? 河野大臣が貰ったお土産に注目集まる→どんなお菓子か、メーカーに聞いてみた
「また副大臣からおみやげが。でも、よく見たら...」
河野太郎防衛相(57)は2020年8月31日、こんなコメントとともに、山本朋広防衛副大臣(45)からもらったという北海道のお菓子をツイッターで投稿した。
投稿は9月2日18時時点で5万5000件超のいいねが付くほど話題となっている。いったい河野氏は何をお土産にもらったのか...そのお菓子がこちらだ。
きびだん...ボ...?パッケージには桃太郎のイラストが描かれているが「きびだんご」のことだろうか。そうだとしても、「きびだんご」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは岡山銘菓の「吉備団子」だろう。パッケージの小窓は北海道の形をしているが、どういうことなのか。
河野氏の投稿に対し、ほかのユーザーからは、
「あっ!これ。北海道では有名なんだよね」
「うちにも有ります!よく見てなかったけどきびだんボなんですね(笑)」
「北海道の栗山町の老舗のお菓子ですねぇ 懐かしい美味しさのきびたんボですw」
といった声が寄せられている。どうやら北海道では有名なお菓子らしい。
一方で、「ボ?」「だんボ???」「きびだん......ぼ?」など、困惑するユーザーも複数見られた。
北海道の「きびだんご」は「起備団合」
「きびだんボ」の正体を探るべく、Jタウンネットは9月2日、同商品の製造・販売を手掛ける谷田製菓(北海道・栗山町)を取材した。
谷田製菓は1913年(大正2年)創業の老舗会社。取材に応じた営業担当者によれば、「きびだんボ」は23年(大正12年)に誕生した。
担当者によれば、「きびだんボ」の読み方は「きびだんぼ」ではなく、「きびだんご」。実は、最後の文字はカタカナの「ボ」ではなかったのだ。
「昔の『古』という漢字を平仮名にすると『こ』になります。昔はそれ(古の変体仮名)に濁点を付けて『ご』と表していたようです」(営業担当者)
補足すると、漢字の「古」(読み:こ)から派生した変体仮名はカタカナの「ホ」に似た形をしている。そのため商品名の読み方は「ご」でもパッケージでの表記は「ボ」のような形となっているというわけだ。ちなみに同店のウェブサイト上では「きびだんご」と表記されている。
しかし、そもそもなぜ北海道で「きびだんボ」(便宜上「ボ」表記、以下同)なのか。河野氏に同商品をプレゼントした山本氏も、自身のツイートで「知らなかった」と驚いたように投稿しているが...。
営業担当者は商品誕生の経緯を次のように話している。
「大正12年に関東大震災があり、その復興を願って作りました。また当時は北海道の開拓が進んでいたことから、『起きることに備えて団結して助け合おう』という意味を込めて『起備団合(きびだんボ)』と名付けました」
パッケージに桃太郎のイラストを載せているのは、商品名を付けた際に偶然近くにあったからだとか。
また、営業担当者はこんなエピソードも明かす。
「第二次世界大戦中は、軍隊に『きびだんボ』を卸していたと聞いています。そのため軍人さんが食べていたと思われます」
「きびだんボ」の原料には、もち米、生あん、砂糖、麦芽水飴を使用。腹持ちが良いとのことなので、腹ごしらえには最適だったのかもしれない。
売上の9割が「きびだんボ」
河野氏も投稿した個包装の「きびだんボ」は71年(昭和46年)に発売。一口サイズに食べやすく包装されているだけあって、今では谷田製菓の売上の7割を個包装の「きびだんボ」が占めているという。棒状のものも合わせると、売上の9割が「きびだんボ」だ。
担当者によれば、「きびだんボ」は北海道、青森の一部のスーパーで販売されており、北海道では定番のお菓子として広く知られている様子。子供の日や節分の日などにスペースを広げて販売されることもあるようだ。またアンテナショップやイベント、個別の発注にも対応するほか、問屋を通してアマゾンでも販売している。
とはいえ岡山のきびだんごに比べると認知度はまだ低い模様。担当者は河野氏や山本氏が「きびだんボ」をツイッターで取り上げたことについて、
「ツイッターに載せてくれたのはすごくありがたいと思います。河野氏のコメントにある『よく見ると...』ていうのはきびだん『ボ』のことかなと思いましたが、正確にはわかりません」
と話した。
たしかに、河野氏が「きびだんボ」の何に注目したのかは結局のところわからない。担当者の言う通り商品名の可能性もあるが、投稿へのリプライ(返信)には「桃太郎の顔が大臣ソックリ」といったコメントも複数見られる。
もしかすると「よく見ると...自分に似ている」ということだったのだろうか。真相やいかに。