同じ「中央線で30分」でもここまで違う 東京発・名古屋発を比較した結果が話題に
高蔵寺~定光寺で景色が一変
三鷹駅と定光寺駅付近の写真を投稿したのは、ツイッターユーザーの臨B詰所(@RinBTsumeSyo)さん。2020年6月29日に投稿し、7月3日時点で1万6000件を超えるいいねが付いている。
「都心までJR中央線で30分ちょっと」のフレーズで表せる駅。
— 臨B詰所@鉄道路線同人誌委託中 (@RinBTsumeSyo) June 29, 2020
←東京 名古屋→ pic.twitter.com/PqkjfPQ0i4
Jタウンネットは2日、投稿者の臨B詰所さんに詳しい話を聞いた。
趣味で鉄道路線史を調べ、同人誌を制作しているという臨B詰所さん。愛知出身・在住で定光寺駅は生活圏内、三鷹駅は「三鷹の森ジブリ美術館」に行く際に一度利用した。定光寺駅に関しては駅近くにある「愛岐トンネル群」の特別公開時(春・秋)に使用しており、愛着を感じているようだ。


改めて2つの写真を見てみると、同じ「都会から中央線で30分」でも駅前の景色は対照的。直線距離にしても東京駅~三鷹駅は約19キロ、名古屋駅~定光寺駅は約22キロと大差ないはずだが...。
定光寺駅周辺が自然あふれる景観となっている理由について、臨B詰所さんはこう説明する。
「名古屋都市圏の特性が色濃く出ていると思います。駅近くでも街道・国道を外れると手付かずの里山が残り、鉄道利用率の低さを伺わせます。名古屋市域外の濃尾平野には岡崎や春日井など街道の宿場町を原型とする衛星都市が点在していますが、春日井~多治見間では街道が現国道19号線と同じく内津峠を経由していたために都市が存在しませんでした。
旧版地図では明白ですが、急勾配に弱い鉄道が庄内川沿いに開業し、その空白地帯に高蔵寺ニュータウンが建設されたことで、写真のような激変地帯が発生した構図をよく表しています」

施行時特例市の春日井市と岐阜県多治見市の境界に存在する定光寺駅。春日井駅との間にある高蔵寺駅周辺はニュータウンとなっているが、航空地図で確認すると高蔵寺~定光寺間でパタリと住宅地が途絶えている。
「東京圏のように丘陵ごと宅地にならなかったのは、名古屋市の戦後都市計画が非常によくできており、計画人口を市域内に収容できたことの現れだと思います」
東京との違いについてこのように話す、臨B詰所さん。投稿が話題となったことについては、
「100年以上前に東西両京を結ぶ目的で計画された中央本線が、新幹線開業や国鉄分割民営化といった歴史的経緯を経て変質し、現代では東京・名古屋の2大都市圏それぞれに起点を分けて地域住民に受容されている点を実感しました。
つまり『(日本の)中央に位置する路線』から『(都市の)中央に位置する路線』への変化です。『地域に根差した鉄道』がひとつのテーマだった国鉄改革の成功が、こうした言葉のあやで具現化されるとは思いませんでした」
と話している。