これは注目せざるを得ない...! 「集中線」付き飛沫防止パーテーションが発明される
新型コロナウイルスの感染防止対策として、病院の窓口や店舗のレジ、飲食店などで見かけるようになってきたのが、透明のプラスチックなどで作られた飛沫防止パーテーションだ。ビニールシートが吊り下げられている場合よりも、パーテーションの方が固定されているだけに、やや安心感がある気がする。
その飛沫防止パーテーションに、こんなユニークなモノが登場した。2020年6月16日、次のようなツイートが投稿され、話題となっている。
なんと「集中線バージョン!」だ。
線の集中する位置にある物体に、読者の視線をひきつけ、注目させる効果がある。否が応でも読者の注目を引き寄せようとするテクニックらしい。漫画好きの人にはおなじみのアレだ。
しかし、なぜ飛沫防止パーテーションに集中線を入れてみたのだろう?
Jタウンネット編集部は17日、パーテーションを作った匠工芸(@takumikougei )を取材した。
「クスッと笑ってもらえるモノを」
兵庫県高砂市にある匠工芸は、プラスチック加工や看板製作を専門とする小さな会社だ。漫画やアニメに出てくるような「ファンタジー武器」などの製作も手がけているという。Jタウンネットの取材に応じたのは、代表の折井匠さんだった。
「新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、弊社の取引先だった大手のレジャー施設が軒並み休園してしまい、一時はまったく仕事がなくなりました。途方に暮れていたのですが、4月に入った頃、県内外の病院から飛沫防止パーテーション製作の依頼が飛び込んできたのです。
倉庫にはアクリル、塩ビなどの在庫がたくさんありましたし、加工は得意中の得意でしたので、医療現場や販売従事者の声を聞きながら、それぞれのニーズにお応えしたパーテーションをどんどん作りました。お客様の要望にスピーディに対応できたこともあって、4月と5月で、500台くらいは納品できたでしょうか」(折井代表)
そんな匠工芸が、「集中線バージョン」を開発したのは、なぜだろう?
「弊社のモノづくりの根底には、お客様にクスッと笑ってもらえるモノをお届けしたいという願望があります。笑顔が生まれるもの、何かおもしろいものを作りたいということでしょうか。新型コロナウイルスの影響で、厳しい自粛生活を続けられ、やや殺伐とした状況ですから、時には笑ってもらえるといいなあ、と思ったのです。
来店されたお客様も、接客される店のスタッフも、自然に笑顔になるといいな。ひょっとしたら、インスタ映えするんじゃないかな、などとも思いまして(笑)」(折井代表)
この集中線は、透明の板の上に、黒いテープを手作業で貼ったものだという。工場の中などでは、「危険」「注意」などという文字を板に張り付ける場合があるそうで、その応用なのだという。ちなみに、ハシビロコウの被り物を着けているのは、この「集中線バージョン!」の発案者の女性社員だ。ハシビロコウの被り物は商品ではないので、念のため。
ところで、この「集中線バージョン!」に最初の注文が入った、と折井代表が嬉しそうに教えてくれた。冒頭のツイートを見た、九州の人からの注文だったという。いったいどう活用されるのか、大いに気になる。全国に笑いが広がるスタートかもしれない。