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神保町「キッチン南海」が閉店、54年の歴史に幕 あのカツカレーはどうなる?料理長に聞くと...

笹木 萌

笹木 萌

2020.06.05 21:01
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東京・神保町の神田すずらん通り沿いに店を構える「キッチン南海」。

都内に複数あるキッチン南海だが、1966年に創業したここが本店で、黒いルーを使ったカツカレーでお馴染みの老舗だ。

半世紀以上にわたって多くの客に親しまれてきた店舗だが、2020年6月26日に閉店することが決定。ツイッターでは閉店を惜しむ声があがっている。

神保町の「キッチン南海」が閉店(画像はすべて編集部撮影)
神保町の「キッチン南海」が閉店(画像はすべて編集部撮影)

店頭に展示されているサンプルケースの上には、「お知らせ」と題したこんな掲示がある。

「建物の老朽化に伴い 店舗契約期間終了のため6月26日(金)をもちまして閉店することになりました。創業昭和41年 長年にわたりご愛顧いただき誠に有り難うございました。

なお、7月中に神保町花月の向かいにてのれん分け独立店 キッチン南海を開店予定です。宜しくお願い致します」

このキッチン南海は閉店するが、近くに新たなのれん分け店を開店する、ということらしい。どうも移転とは違うようだが...ここのカツカレーはもう食べられなくなってしまうのだろうか。

ツイッターでは、閉店と聞いてショックを受けるファンから、

「今月で閉店と聞いて慌ててやって来ました!確かに建物の老朽化は否めない」
「10年ちょい前に東京に転勤してきて、上司に教えてもらった思い出のお店だったので、凄い寂しい...」
「もうこのカツカレー生涯で100杯弱はここで食べてるはず、寂しいけどのれん分けして移動しても味が変わらなければいいな」

といった声が寄せられている。

カツカレーを食べてみた

Jタウンネットは5日、キッチン南海に訪れた。

平日の昼も行列
平日の昼も行列

キッチン南海のランチタイムは15時まで。事前に打ち合わせていた通り15時直前に訪れた筆者だったが、残り10分を切っているにもかかわらず店の外には10人ほどの行列ができていた。

さすがに全員入らないのではないかと心配したが、客の回転は想像以上に速く、あっという間に順番が回ってきた。

カレー以外のメニューもある
カレー以外のメニューもある

筆者が注文したのは看板メニューのカツカレー(税込750円)。ネット上では「結構なボリューム」とのコメントが多く見られるが...。女性の筆者でも食べられるだろうか。

これがあのカツカレー
これがあのカツカレー

出てきたカレーは噂に聞いていた通り、ルーが真っ黒。薄めのカツ1枚がドンとのり、千切りキャベツが盛られている。

さっそく一口食べてみると、ルーの濃厚さに驚く。しかし舌ざわりはサラサラとしており、カツやキャベツとあわせてご飯がどんどん進む。気が付けばペロリと平らげてしまっていた。

料理長の中條知章さん(52)によれば、

「カレーには余計な糖分が入っていません。胃もたれしない、『毎日食べられるカレー』を目指しているので。ルーを良く焙煎しているのもあって、胸やけが起きにくくなっていると思います」

とのこと。現在は新型コロナウイルスの影響で客足が減っているが、それ以前は1日に400食以上のカツカレーの注文があったという。

本店は閉店、しかし...

中條さんによれば、本店の閉店自体は今年の初めに決まっていた。

「昔から来ている常連客が心配」という理由から神保町で店を探し、3月に新店舗の場所を決定。6月2日頃に閉店のお知らせを掲示した。新型コロナウイルスの影響で、掲示が遅くなってしまったという。

本店は閉店
本店は閉店

本店のコックは中條さん含めて2人。7月中にオープン予定の新しい店舗でも、続投するという。

「僕はここで30数年働いて、変わらない味を守り続けているので、味は変わらない自信があります。あの掲示だけじゃ僕が移ることが分からないので、お客さんに『やめられちゃうんですよね』と聞かれることもありますが...僕が料理長なので味は大丈夫だと思います」

中條さんによれば、この店は今も現役で働く南山茂さん(90)が創業。建物の老朽化に伴う契約期間終了のため、こちらの店はたたみ、新しく開業する店は中條さんの独立店になる。

料理長の中條知章さん
料理長の中條知章さん

中條さんは南山さんの甥であり、中学生くらいから店の手伝いに訪れていた。中條さんにとって、ここのカレーは「家のカレー」。20年ほど前に料理長となり、同じ味を守り続けてきた。

「開店当初から来ている、当時学生だったお客さんが今は老紳士だったりしますが、『変わらない味でホッとする』と言ってくれます。それが一番嬉しいですね」

「本店で修行して独立するのは僕が最後」と話す、中條さん。新店舗の開業に向けて意気込みを聞くと、

「変わらない味を守り続けていきたいです。絶対に味は変えない、働き始めたころからそう思っています。ここに来ているお客さんは、それが一番心配だと思うので」

としている。

(Jタウンネット編集部 笹木萌)

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