本当に営業中?な見た目だけど...「鬼滅全巻そろってます」 まさかのギャップで話題「多摩書房」に行ってみた
なぜ看板に「主婦の友」?
多摩書房が営業を始めたのは1963年。中学卒業後、父の事故をきっかけに後を継いだという萩原さんは夜間学校に通いながら店を経営した。
「当時は本屋があまりなくて、子供も多かったしいろいろな本が売れたよね。子供から大人まですごかった」
建物は創業時のまま、客足が増えるとともに店内の面積を拡張してきた。一番売れていた時期を聞みると「私が20~30歳(1970~80年)のころかな」としていた。
結婚後は妻と一緒に、道路を挟んで向かいに建っているクリーニング屋とともに書店を経営している。午前は図書館などに本を納品、午後は店番をする生活を何十年も続けている。
萩原さんによれば、現在、青梅市にある本屋は3軒。多摩書房の開店時間は9時から17時。日曜日と祭日を除いて営業している。
店内には雑誌や児童書、青梅市にまつわる本など様々なジャンルの書籍が並ぶ。客の要望を受けて本を発注することもあるという。最近の客足は「鬼滅の刃」の影響で増えているが、普段は1日に数人の客が訪れる程度だという。
ところで、気になるのが店頭の看板。雨風にさらされ色あせているが、出版社の「主婦の友」の文字がはっきり見える。なぜ店名ではなく「主婦の友」なのだろうか。
「店で『主婦の友』を数百冊と売ってたんですよ。昔はそういう看板をただでもらえました。小学館の看板もあります」
店の外には、たしかに小学館の看板が立てかけられてる。講談社の週刊誌「週刊現代」と月刊誌「with」が裏表になった小さめの看板は現在も掲げられている。
萩原さんは今後の経営について、
「あと何年やれるか分からない。もう辞めたいくらいなんだけど、今は本屋さんがなかなかないし、できる限り続けたいね」
と話す。後継者はいるのか聞いてみると、「子供はいるけど仕事して孫もいるし、継がせられないね」と話していた。
(Jタウンネット編集部 笹木萌)