客に「賄賂」を渡すとんかつ屋が話題 どういうこと?店長に聞くと...切実な理由が判明
時代劇ではしばしば悪代官と越後屋がグルになり、「おぬしも悪よのう」「お代官様こそ」と悪い笑顔を交わし合うシーンが登場する。そんなとき、お決まりのようにお代官様に手渡されるのが「賄賂」だ。
そんな賄賂を渡してくるお店が、現代の奈良県にある。
お持ち帰り専門営業に切り替えたため不安になった店長、ついにお客様を買収し始めました! pic.twitter.com/IVxbVM9da5
— とんかつ店まるかつ@奈良 (@marukatsunara) April 1, 2020
これは奈良市にあるとんかつ店「まるかつ 本店」の公式ツイッターの2020年4月1日の投稿だ。
「お持ち帰り専門営業に切り替えたため不安になった店長、ついにお客様を買収し始めました!」
買収とは穏やかではない響きだ。「店長からの賄賂でございます」と書かれた袋には、
「店長、おぬしもワルよのう...」
「いえいえ、お客様ほどでは...」
といった何ともユーモラスな会話が刷られている。はたしてこの賄賂の中には何が入っているのか...。
その詳細を知るべくJタウンネットは2020年4月7日、まるかつの店長を取材した。
気になる中身は...
まるかつでは新型コロナウイルス感染予防のため、3月31日から店内での食事を提供する通常営業を取りやめ、お弁当や揚げ物のおかずセット、オードブルなどの持ち帰りのみの営業を行っている。
当初は4月19日までの予定だったが、「状況を見て延長いたします。終息宣言など、明確なきっかけがあるまでは延長しなければいけないと思います」という。
上述したツイートにもあるように、客に賄賂を渡すに至った理由は、この持ち帰り専門営業に切り替えたところにある。
「3月中旬に『お持ち帰りメニュー』をリニューアルして印刷したのですが、レジにてお渡ししようとしても受け取っていただけない人がいらっしゃいました。何か工夫が必要だと思っていたところ、お持ち帰り専門営業に切り替えることになりました。
そこで、封筒にメニューといくつかの特典を入れて、受け取ってもらうお礼としての『賄賂』であれば、笑って受け取っていただきやすいのではないかと思いました」
賄賂の中身は「お持ち帰りメニュー」と持ち帰り専門営業に切り替える旨を伝える店長からの手紙、そして「お得な特典」だそう。

持ち帰りの利用者に、レジで「店長からの賄賂です」と渡しているとのことで、
「ほとんどのお客様が笑顔になってくださいますし、『人生で初めて賄賂をもらった!』などと喜んでくださっている方も多いです。『おぬしも悪よのう』と乗ってくださるお客様もいらっしゃいます」
と評判も上々のようだ。
確かに、筆者も人生で賄賂をもらったことはないので、もらったらテンションが上がると思う。
今回の取り組みについて、ツイッターには
「アイデアが秀逸!」
「買収されてしまうなんて...」
「暗い気持ちが明るくなりました」
といったコメントが。こうした反応について店長は、
「少しでも喜んでいただけるのが本当にうれしいです。スタッフも頑張って準備してくれています。じつは次の企画も考えています。一瞬でも笑顔になってもらえるように、これからも取り組んで参ります」
と話した。
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