どっちが影でどっちが本物? 川面を歩くサギを反転させた動画がトリックアート
まるで鏡の中の世界に入ってしまったかのように感じられる、不思議な映像がツイッターに投稿された。
川面を歩く水鳥を撮影した8秒ほどの短い動画だ。早速ご覧いただこう。
川の中を歩く黒いサギ。足元から伸びる影は、はっきりした白いサギの姿だ。影の方がはっきりしているなんて、もうすでにあべこべで奇妙だが、不思議な光景はまだ続く。
映像の中ほどで、サギは建物の影の中に入っていく。すると、白い姿はくっきりとしたまま、黒い姿は周りの影に溶けてしまう。
初めからピンと来ていた、という人もいるとは思うが、筆者は3回ほど見てからようやく「上下が逆になっている」と気付いた。スマホをさかさまにしてもう1度見てみると、見慣れた風景が映っていて、「こんなに普通の光景なのか」と再び驚いた。
2020年1月26日に投稿されたこの映像は、約1万9000件のリツイートと8万4000件以上のいいね(28日昼現在)を集めるなど注目されており、リプライ欄では
「映像が逆さまになってるのか、すげえ!30回くらい見てやっと気づいた」
「逆さまにするだけでこんな不思議な見え方になるんだね」
「反転した画像だったのか!すっかり騙された」
と、驚く人が続出している。
iPhoneの機能で動画をさかさまに
この不思議な映像を投稿したのは、アーティストで、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科准教授の鈴木康広(@mabataku)さん。
Jタウンネット編集部が27日、鈴木さんを取材すると、2014年の時点ですでにシラサギの影をクロサギと呼ぶというアイデアがあり、ツイートもしていたことを教えてくれた。
今回の動画については、
「散歩をしていたらまた見かけたので、今度は動画を撮影しました。 ツイートしようとコメントを考えていたときに、iPhoneにムービーを逆さまに反転する機能が加わったことを思い出し、使ってみました。
予測をこえる不思議な効果がうまれてびっくりしました。
ふだんの作品制作のテーマにもつながるものなので、多くの方々にこの不思議さを感じていただけて嬉しいです」
と鈴木さん。作品制作のテーマを一言で表すと、鈴木さんのツイッターのプロフィール欄にも書かれている
「日常に潜むもう一つの世界を探しています」
という言葉だという。
日常に潜むもう一つの世界。まさに、今回の動画にぴったりのフレーズだ。