鳥と魚のキメラみたい? 見た目がシュールすぎる和菓子「下剋上鮎」開発秘話を聞いた
売上は看板商品に匹敵
いったいなぜ鵜とアユの下剋上を和菓子にしたのか。
Jタウンネットは20年1月10日、下剋上鮎のプロデュースを担当した白木佑典さん(33)に開発の経緯を聞いた。
白木さんによれば、今から1年半ほど前に大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK)の主役が明智光秀になり、岐阜近辺が取り上げられるという話があがった。そこで関連商品を玉井屋近辺の事業者が作るという流れになったが、「高齢の方たちのアイデアでは面白くないかも」という玉井屋社長の考えで白木さんに話が来たという。
「和菓子の消費に関しては若者が結構離れていっています。職人も若者の不足が問題視されています。今回も商品を作るなら、麒麟が来るにあやかっただけじゃなく、若者がインスタで取り上げたりするような、おもしろい商品にしたいと思いました」(白木さん)
メインのターゲットは若者世代。岐阜の特徴的な文化である「長良川の鵜飼」と明智光秀を絡めようと考えた白木さんは、明智が「本能寺の変」で主君・織田信長に下剋上を企てたことに着目した。
「明智光秀がフィーチャーされ、アユもうかうかしてられないぞということで『鵜に食らいついてやる』という下剋上を起こすという切り口を考えました」
こうして生まれた下剋上鮎。鵜のしっぽにアユが食らいつく姿は、どこかほほえましい。

白木さんによれば、ツイッターでも評判の「鵜の何ともいえない表情」は計算して作ったとのこと。「このとぼけた顔なんだろう、という想像力が広がると拡散されやすい」と考えたという。
下剋上鮎は予想以上の売れ行きとなり、売上は看板商品「登り鮎」と同等に推移している。今後、玉井屋本舗の新たな看板商品になる可能性も十分にあるということだ。
商品がここまで話題になった理由について、白木さんは、
「国民が、景気など自分の思い通りにいかないことに対して『下剋上』を求めていたのではないでしょうか。あとはクスッと笑ってしまうようなデザインと、老舗の玉井屋が画期的なチャレンジをしていることが認められたのかもしれません」
と分析する。