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お雛様が「オタ芸」に挑戦してる... 役目を終えた雛人形の再利用プロジェクトが面白い

笹木 萌

笹木 萌

2020.01.19 08:00
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3月3日・桃の節句に向けて飾る雛人形たち。雛壇に整然と並べるのが一般的だが、ツイッターでは見たことないような雛人形たちの姿が話題になっている。

躍動感ある(画像は福よせ雛プロジェクト参加企業のフェイスブックより)
躍動感ある(画像は福よせ雛プロジェクト参加企業のフェイスブックより)

こちらはオタ芸に励む「ヲタビナ」。本来ならば雛壇に並んでいるはずの人形たちがペンライトを握り、キレのあるダンスを披露している。通常の姿からは想像できない、シュールな光景だ。

これは雛人形たちの「第2の人生」をテーマにした「福よせ雛プロジェクト」の作品だ。何らかの事情で処分されそうになった人形たちの「日常」を再現し、日本およびヨーロッパ各地で展示している。

ツイッターでは今にも動き出しそうな雛人形たちの写真に対して、

「引退後の人生を表しているようで、ユーモアで良いですね」
「ずっと畏まったポーズを取らされてたお雛様達が、お役御免で自由に動き始めてる!」
「今までずっとその場に座って過ごしてたんだから、第2の人生、好きにしてもよいよねー。生き生きしてる!」

といった声が寄せられている。たしかに、心なしか雛壇にいた時よりも生き生きしているように見える。

「人間と一緒に生活しているようなお雛様に」

楽しそう(画像は福よせ雛プロジェクト参加企業のフェイスブックより)
楽しそう(画像は福よせ雛プロジェクト参加企業のフェイスブックより)

Jタウンネットは2020年1月15日、福よせ雛プロジェクトを手掛ける、一般社団法人・日本社会文化教育機構の代表理事・吉野孝子さんに詳しい話を聞いた。

プロジェクトは2009年、名古屋近郊の主婦9人が発案。11年に名古屋市で福よせ雛を展示・発表したのが始まりだ。雛人形はプロジェクト事務局やプロジェクトに参加している自治体に届き、それぞれの地域で展示されている。

吉野さんはプロジェクトを通して、事情があって手放された雛人形だけでなく、処分するのは心苦しいといった持ち主の気持ちも助けることができればと考える。

「大事にされていたお雛様を、人間と一緒に生活しているようなお雛様に生まれ変わらせたら、きっとそこで長く生きていけるんじゃないかなと思いました」
自分でお掃除(画像は福よせ雛プロジェクトチームのフェイスブックより)
自分でお掃除(画像は福よせ雛プロジェクトチームのフェイスブックより)

吉野さんは「日常」を再現した理由についてこのように話す。自身も雛人形を持っており、触っているうちに首の角度を動かすだけで表情が変わって見えることに気づいたという。

「お雛様も人間も同じことをしたいだろうと。ずっと座ってたから、走ることもしたいだろうし、お腹空いてるからピザも食べたいだろうしと。いろんな意味で、人間のためにもう一回頑張っていただけるんじゃないかなと思いました」
激しい...(画像は福よせ雛プロジェクトチームのフェイスブックより)
激しい...(画像は福よせ雛プロジェクトチームのフェイスブックより)

第2の人生を歩み始めた雛人形。各施設のSNSで様子を確認すると、お祭りの屋台でかき氷を食べたり、扇風機で風を浴びたりと、「夏を楽しむお雛様」の姿もあった。

展示は各自治体の実行委員会か、吉野さんら事務局のメンバーが行っている。鳥取県日野町では雛人形に特別住民票を発行しており、それぞれの雛人形がどこにいるかが分かる。19年には人口より多い人形が「移住」したということで話題を呼んだ。

プロジェクトはフランスまで活動の幅を広げているが、吉野さんによれば「(人形自体は)ベルギーやドイツにも旅をしているようです」とのこと。海外では平安時代のような和風の顔つきが人気だといい、そのような人形を選んで送っているという。

スポーツにも挑戦(画像は福よせ雛プロジェクトチームのフェイスブックより)
スポーツにも挑戦(画像は福よせ雛プロジェクトチームのフェイスブックより)

10年間で届いた雛人形は2~3万体ほど。プロジェクト発足当初は「こんなので人が来るのか」「バチが当たるんじゃないか」との声もあったというが、現在は自治体を始め、中部国際空港や名古屋市の中村警察署も参加している。

ちなみに公式サイトによれば、福よせ雛には「笑顔と福をよぶ」役割があるとのこと。今年の展示は25会場で2月1日~5月6日(期間は場所によって異なる)、多くの人を幸せな気持ちにしてくれることだろう。

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