石碑だと思ったら...実は自販機! 斬新すぎるコラボの謎、設置の水族館に聞いた
もみじ饅頭、絵馬、はんこ......。Jタウンネットではこれまで、様々な変わり種商品を扱う自販機を紹介してきたが、今回また新たな珍自販機を発見した。
変わっているのは売っているものではなく、その外観。それがこちらだ。
「室戸市立 椎名小学校」
そう大きく書かれた石のような置物。側面には校歌と沿革が書かれているといい、どう見ても「石碑」だ。周囲にはプランターが置かれ、とても自販機には見えない。
設置されているのは椎名小学校の校舎を利用した「むろと廃校水族館」(高知県室戸市)の入り口。入館する人からはこの通り石碑にしか見えないが、飲み物はどこに...?
裏側に回ると、石碑面とはうって変わって普通の自販機だ。並んでいる商品は普通のようだが、これでは気づかない人がいてもおかしくない。ツイッターではこの自販機に対して、
「缶やペットボトルが、集合写真に見えてくる・・・」
「意表をつくコラボ」
「金属製の石碑とは」
といった声が寄せられている。
むろと廃校水族館によれば、この「石碑」は2019年10月11日に除幕式が行われたばかり。12日には、
「なんと、お金を入れるとドリンクが買える多機能型石碑なのです!
自販機と呼ぶ人もいます」
とツイートしている。
いったいなぜこの2つをコラボさせたのか。Jタウンネットは10月18日、むろと廃校水族館の館長・若月元樹さんに話を聞いた。
「地元の方がすごく喜んでまして」
若月さんによれば、椎名小学校は2001年に児童がいなくなったといい、06年に廃校した。18年4月にむろと廃校水族館として新たなスタートを切り、活気を取り戻しつつある。
それにしても、なぜ石碑の裏に自販機なのか。若槻さんによれば、普段から「ここは小学校だったんですか?」「なんていう名前の学校だったんですか?」という質問があったとのこと。そこにコカ・コーラから「自販機を置かせてほしい」と依頼が来たという。
その要望に対し、水族館側は「こちらの望むデザインのラッピングをすること」を条件にあげて承諾。それで話がついたため、石碑のデザインを提案したところ、コカ・コーラ側はとても驚いていたという。
「紙かなんかに『ここは旧椎名小学校でした』って貼るのも面白くないなあと思っていたものですから、石碑にしようと。実際に石碑を建てるとすごくお金がかかりますが、ラッピングにしてもらえば、無料でできる。しかも無料どころか、うまいこといくと収益が上がるかもしれないという考えでやりました」(若月さん)
室戸は風がすごく強い街だといい、中途半端な看板は建てられないと思っていたとのこと。「自販機ぐらいどっしりして入いれば安心ですし、石碑としての重厚感もでます」と満足げだ。
除幕式から1週間ほど経ったが、来館者や地元民の反応はどうだろうか。若月さんは、
「我々は面白がってやったんですが、地元の方がすごく喜んでまして。母校が消えたわけですから、母校の名前が復活したわけですね。一部の人は『廃校』と名付けたもので、悲しんでいる人もいらしゃるので...」
と話す。
たしかに、母校の名前が残るのは卒業生にとっては嬉しいことだろう。写真を撮っていく来館者もいるといい、コカ・コーラにとっても宣伝になると若月さんは感じているようだ。
しかしあまりにも石碑すぎて自販機だと気づかない人もいるのでは...。若月さんは「いるでしょうね」としながらも、ちゃんと自販機として使っている人もいるとのことだった。