血を代償に「遊戯王カード」ゲット 献血ルームのユニーク企画、実施の狙いを聞いた
血液を代償に遊戯王カードが手に入る場所があった――
こう表現すると不穏な響きになってしまうのだが、実はこれ兵庫・三宮センタープラザ内にある「献血ルーム」の話である。ここで献血に協力すると、遊戯王カード1パックなどのアニメグッズがプレゼントされるのだ。
この風変わりな企画は、たつのんさん(@ta2non)がツイッターで紹介したことで話題に。カードゲームのファンとみられるユーザーからは、「リアル血の代償まじ草」「こんなん血差し出すに決まっとるやろw」「決闘者なら可能な限り行くでしょ...」といった声が相次いでいる。
しかし、なぜ献血の協力者にアニメグッズやトレーディングカードをプレゼントしようと考えたのだろうか。
Jタウンネットは2019年6月12日、三宮センタープラザ献血ルームの小松賢二所長(52)に詳しい事情を聞いた。
「少しでも献血に来る若者を増やせないか」
「どうにかして、少しでも多くの若者に献血に協力してほしい。アニメグッズのプレゼント企画を行っている理由は、本当にその一心だけなんです」(小松所長)
背景にあるのは、10~20代の献血協力者が減ってきている事実だ。そうした状況を改善しようと、小松所長をはじめ職員一同で取り組んでいるのがこのプレゼント企画。4年以上前から、定期的に実施しているという。
アニメグッズに目をつけたのは、場所柄が大きな理由だ。
実は献血ルームがある三宮センタープラザ西館3階には、「とらのあな」や「ゲーマーズ」などマニア向けの専門店が多数入居。カードショップに至っては、なんと同じフロアに3店舗も存在しているのだ。
こうした立地から、献血ルームの周辺は必然的にアニメ、ゲームのファンが多く集まる。「私自身はアニメとかには疎くて、本当に全然わからないんですよ」という小松所長だが、
「うちの献血ルームはガラガラなのに、アニメショップには長蛇の列ができている。そうした状況を見ているので、それだけ人を集める魅力のあるコンテンツだということは分かっていました。これを利用して、少しでも献血に来る若者を増やせないかと思ったんです」
とも話していた。
小松所長だけではなく職員たちもアニメには疎いため、プレゼントするグッズを決めるときは「聞き込み」をしているそう。つまり、献血ルームの近くを通る人に、どんなグッズが欲しいかを聞いているワケだ。
今回の企画で用意した「Fate」「遊戯王」「デュエルマスターズ」グッズは、聞き込みの結果を踏まえて決めたそうだ。この人たち、ガチである。
今後の目標は...
ちなみに、6月1日からスタートしたプレゼント企画だが、すでに「遊戯王」は在庫が尽きてしまったそう。次回の実施は未定というが、「予算の問題はあるのですが、できればやりたいです」と意気込む。
ただ、アニメグッズのプレゼントを貰った献血協力者にアンケートした結果をみると、10~20代は思ったよりも少ないそう。「意外と、50~60代の方が多いんです。どうやら、子供や孫にせがまれて、グッズを貰っていくみたいで...」(小松所長)。
そのため、小松所長は今後の目標について、
「どうやったら若い人が興味を持ってくれるか。そのためには、どんなプレゼントが適しているのか。それを考えているところです。ぜひぜひ若い皆さんにも協力していただけると嬉しいです。どうかよろしくお願いします」
と話していた。