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狛犬ではなく「人」がお出迎え 神社のシュール石像、設置の理由を聞いてみた

松葉 純一

松葉 純一

2019.05.15 06:00
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「『鹿ん舞』でも、いいかや?」

徳山浅間神社の石像(ガラムンさんのツイートより)
徳山浅間神社の石像(ガラムンさんのツイートより)

写真上の石像は、静岡県の川根本町にある徳山浅間神社である。Jタウンネット編集部は神社に電話して詳しい話を聞いてみた。答えてくれたのは、前代表の山下忠之(ただし)さんだ。

「今から15年ほど前、当神社の氏子総代をされている方から寄進の申し出がありました。ただし狛犬ではなく、この地域に伝わる『鹿(しか)ん舞』をモチーフにしたものにしたい、ということでした。『鹿ん舞』でも、いいかや? という申し出に、当時の代表だった私は、何の迷いもなく承諾した思い出があります」
徳山の盆踊「鹿ん舞」(Hahangahanzoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
徳山の盆踊「鹿ん舞」(Hahangahanzoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

「鹿ん舞」とは、頭に鹿の頭を付け、両手に長さ約30センチの紅白のだんだら巻の棒を持ち、その棒の両端をからみ合せるようにして回しながら、前かがみになって鹿が飛ぶように舞う伝統芸能だ。

「作物を荒らす鹿などの獣を追い払い、豊作を祈ったことから起こった行事だと伝えられ、数百年にわたって伝承されている貴重な民俗芸能です。1987年に重要無形民俗文化財に指定されています」と山下さん。

かつては20歳になった若者によって行なわれることになっており、「私も20歳のときに踊ったものです」と、山下さんは懐かしそうに語ってくれた。近年は中学生によって受け継がれているという。

鉦・太鼓・横笛・拍子木など囃子に合わせて、勇壮に舞い踊る「鹿ん舞」は、この地域の人々にとっては、欠かすことのできない大切な行事であり、郷土の結束を現すシンボルでもある。

神社の本殿の前に設置されても、何の不思議もないモチーフなのだろう。

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