「群馬廃県」「前橋・高崎の東京編入」 驚きの公約で立候補、県議目指した男の正体
群馬を「廃県」したい――
2019年4月7日に投開票が行われた群馬県議会議員選挙に、こんな無謀とも言える公約を掲げた人物がいた。前橋市区から無所属で立候補した清水澄(ますみ)氏(70)だ。結果は落選。しかしその壮大な計画は、群馬県民に大きなインパクトを与えた。
例えば、清水氏の公式サイトにはこんなメッセージが。
「仮に、東京都まえたか市であったなら?それが自然体。その時、群馬県って何だろう」
「まえたか市」とは、前橋と高崎が合併した市だという。つまり清水氏は、両市を合併させたうえで、東京に編入させたいというのだ。あまりに壮大な発想に、度肝を抜かれてしまいそうだ。
いったい、清水氏とはどんな人物なのだろうか。Jタウンネット編集部は接触を試みた――。
「廃県、それは小さな群馬県」
「地域が発展して行くには県の存在は障害であり、県の機能を縮小し、生活圏を優先し、むしろ、東京との関係を近づける必要があります。それが『廃県』」(公式サイトより抜粋)
話題となった清水氏は、清水一郎元群馬県知事の三男で現・群馬ロイヤルホテル社長。学校法人「NIPPON ACADEMY」の理事長も務めている。今回の選挙では、
(1)県の機能を縮小する廃県
(2)前橋と高崎の合併
(3)行政サービスの見える化
(4)「ひと・AI」審議会設置
(5)資産課税の導入
という公約を掲げて出馬。2155票を獲得したが、落選している。
Jタウンネットは4月19日、清水氏に電話でインタビュー。まず、「群馬廃県」という一見過激ともとられる主張について、
「少なくともグローバルに見れば群馬は東京なんですよ。合併しなければ発想が田舎になってしまいます」
という。
経済界出身の清水氏からすると、国、県、市といった現行の政治体制にはそもそも構造的に無理があるという。インターネットなどのテクノロジーが発展した社会において、県を廃して、より小規模な「郡」としての行政規模がより合理的な案だとした。
前橋市と高崎市のような地方都市にとって、人の往来をとっても結びつきが強いのは同県の他の市町村ではなく、むしろ東京ではないかと問題提起する清水氏。そうであるならば、県内でお互いに競い合うよりも、補完し合って大都市となる方が得策だと主張する。
「ある意味私の言っていることは大阪都構想と同じなんです。しかし、私の表現不足で結果的に惨敗でした」
と今回の選挙戦の反省を語った清水氏。出馬の経緯について、
「正直言ってやりたくなかった。面倒ではあったけれど、新しい時代のケジメとして出馬しました」
と人間味をのぞかせた。今後の出馬の意向については「今のところ考えていない」としたが、
「県の変化はかならずあると思います。最後の最後まで言い続けていきます」
と引き続きの活躍をにおわせた。