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モナカに入ったわらび餅が「素晴らしい」 食べ歩きOK、完食すればゴミも出ない

松葉 純一

松葉 純一

2019.04.21 12:00
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モナカも食べてゴミが出ない(画像提供:博多一番太鼓、以下同)
モナカも食べてゴミが出ない(画像提供:博多一番太鼓、以下同)

冷たい「わらび餅」にきな粉をかけて、がぶりと頬張る。なんとも言えない幸せを感じる瞬間だ。歯ごたえと弾力、ほの甘い食感がたまらなくクセになる。

そんな「わらび餅」を通りすがりの屋台で買ったところ、モナカの皮の容器に入っていた。これなら片手で食べられて、ゴミも残らない――そんな感激のツイートが投稿され、話題となっている。

ツイッターにはこんな感想が寄せられている。

「これは...なんて工夫だ! 手も汚さず、片手で食べられるし、モナカで包んでいるためこぼさないし、モナカがそのまま食べられるためゴミも出ない!なんてこと!」
「天才か!?」
「素晴らしい...これで100円 こういう屋台良いなぁ」

この「わらび餅」の屋台はどうやら福岡市にあるらしい。Jタウンネット編集部は、電話で詳しい話を聞いてみた。

「モナカなら捨てるゴミはなかろうもん」

モナカの皮でフタをすれば...
モナカの皮でフタをすれば...

電話で答えてくれたのは、福岡市南区にある「博多一番太鼓」の店主・長尾重明さんだ。

「うちは1947年11月創業ですから、もう70年以上続けています。先々代の祖父、先代の父、私で3代目になります。終戦直後、大陸から引き揚げてきた祖父が、お腹を空かせた子供たちにおいしいものを食べさせてあげたいと、きびだんごを売り始めたのがきっかけです。
その数年後、夏場用にわらび餅を始めました。きびだんごの原材料は岡山から、きびだんごの原材料は大阪から仕入れたそうで、物資の少ない時代ですから大変だったと、苦労話をずいぶん聞かされました」
独自の味付けにこだわったきな粉をまぶす
独自の味付けにこだわったきな粉をまぶす

「わらび餅は最初、発泡スチロールやポリ袋に入れて販売していたのですが、子どもたちが道端に捨てて、ゴミが出る。子どもたちに提供するのに、ゴミが出てしまうのは困る。
ゴミを無くすには容器まで美味しく食べることができればと考え、ウエハースを船型に成形してもらって、わらび餅の容器にしてみたり、いろいろ工夫をしているうちに、モナカに行きついたそうです。
モナカの皮でフタをすれば、『これなら捨てるゴミはなかろうもん』ということで、モナカに定着しました。焼きたてのモナカなので、パリパリの食感と良い香り、大人でも美味しく食べていただけます」

モナカの皮は、もち米に水を入れて生地をつくり、薄く伸ばして、型に入れて焼く。和菓子材料専門のメーカーに特注で作ってもらっているという。

「博多一番太鼓」は福岡市南区長住に店舗があるが、2台の屋台が市内を巡回し、販売している。福岡では「流し屋台」と呼ばれているそうだ。

屋台が巡回する場所は、公式アカウントから次のように報告される。

博多一番太鼓の屋台と長尾重明さん
博多一番太鼓の屋台と長尾重明さん

お昼時は、オフィス街を巡ることが多いが、子供のころ食べたというビジネスマンやOLが懐かしそうに集まって買ってくれる。「絶対なくさんでくれ、どんなことがあっても続けてくれ、というお客さんが、多か...」と長尾さん。かつては多かった福岡の「流し屋台」も今では数少なくなったという。「ひょっとしたら、うちが最後かも?」

2台の屋台は、長尾さんと息子さんが引いている。毎日のツイートに携帯番号を入れているのは、「いまどの辺?」とか、「〇〇には何時ころ来ると?」という問い合わせが多いからだ。

「懐かしい」「天神にいる一番太鼓、美味しいんだよねぇ」「なんか見たことあると思ったら 一番太鼓か!」という声が、ツイッターに続々と寄せられている。

南区長住にある「博多一番太鼓」の店舗は、奥さんが切り盛りしているが、わらび餅は「流し屋台」で買いたいと、楽しみに待っているお客さんが多いようだ。

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