都営地下鉄「駅の壁」再現したチョコ爆誕 マニアックすぎない? 担当者を直撃すると...
世の中にはいろいろなマニアがいるというが、なかにはこんなマニアもいるかもしれない。
「地下鉄の駅の壁を食べてみたい。できれば、天井や床も......」
うーん、かなりヘビーな要望だが、大胆にも応えてしまった(?)のが、東京都交通局だ。
都営地下鉄の駅ごとに異なる壁や天井、床をモチーフにしたチョコレート「Toei Detail」(トエイ ディテール)が製作されたのだ。
都営大江戸線「麻布十番駅のホームの壁」、都営新宿線「九段下駅の改札階の天井」、都営浅草線「宝町駅のホームの壁」など、全12箇所がチョコレートで再現されている。ショコラティエ・パレ・ド・オールの三枝俊介シェフの監修だ。
しかし、なぜこんなにマニアックな企画を? Jタウンネットが、都交通局に聞いてみた。
マニアが作った、マニアなチョコレート?
電話で取材に答えてくれた広報担当者によると、
「地下鉄は移動するための手段であって、その壁、床、天井、そして空間がどうであるかはほとんど意識されるもではありません。でも、人生にはふとそのディテールが見えてくる瞬間がある。普段は何気なく見過ごしているものが、なぜか目に留まる、印象に残ることもある。壁の模様や凹凸など、細かいデイテールに、目を向けてみたらどうだろう」
東京都交通局では3年ほど前から、「PROJECT TOEI」というウェブサイトを立ち上げ、さまざまな切り口で、都営地下鉄や都営バスにまつわるテーマを取り上げてきたという。今回の駅の壁チョコは「PROJECT TOEI」の一環なのだという。
そこで、「PROJECT TOEI」では過去にどんなテーマを取り上げてきたかをザッと見てみる。
いくつかの連載コーナーが設けられていて、「Sound of Toei」という連載では、都電荒川線の発車合図音、地下鉄大江戸線の音声誘導チャイムなど、延々と紹介されている。「私の7つ道具」という連載では、木場車両研修場の「6分のスパナ」や「踏面ゲージ」などが取り上げられている。まさに鉄道マニア向けの企画オンパレードである。
東京都交通局広報担当者は、「今回の駅の壁チョコレートの企画は、鉄道マニア以外のお客様にも受け入れられるものにしたい」と構想を語ってくれた。なるほどマニアの中のマニア、担当者から見れば、相当マニア度を下げた企画だったようだ。
チョコレートの味はというと、天然のイチゴパウダーを用いたフレッシュ感溢れるイチゴ味のレッド、良質なカカオバターをベースにした軽くてミルキーな味わいのホワイト、バニラの香りとビター感の残るチョコ、そしてパッションフルーツが香るトロピカルな味わいのイエローの 4 種類。
三枝俊介シェフはこうコメントしている。
「チョコレートを使って地下鉄を表現するという、まったくかみあわない、全然思いもよらないものが、逆におもしろいんじゃないかなと思ったんですよね。いろんな凹凸でも抜き出しさえできれば、どんな形でも応用が利くんですよね。壁の凹凸だとか、タイルの模様だとか、そういうものを表現するには、ある意味すごくぴったりの素材なんですよ」
「チョコレートの中にライスパフやクッキーなどの異なる食感を加えることによっていろいろな食感を楽しむことができる、視覚でも食感でも楽しめるチョコレートになった」と三枝シェフ。これまた相当にマニアックなコメントではないか。
このチョコレートは、3月11日~17日の期間、都営新宿線「新宿三丁目駅」、都営大江戸線「新宿西口駅」、「都庁前駅」で、合計1500個限定で販売される。価格は12個入り、2000円だ。