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岡山の黄ニラ・パクチーがイタリアンに変身 「復興」の手助けになれば...名シェフが腕をふるった

松葉 純一

松葉 純一

2019.03.04 16:00
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「黄ニラ・パクチーはイタリアンにも欠かせない」

岡パクの根っこと黒毛和牛リブロースのタリアータ
岡パクの根っこと黒毛和牛リブロースのタリアータ

黄ニラとパクチーというと、はっきり言って中国料理やタイ料理などエスニックの食材である。それがイタリアンのメニューにどう使われるのか? 半信半疑の向きは多いだろう。

試食会当日招かれたのは、飲食店経営者や飲食業界のトレンドリーダーとなる料理人・バ料理人・バイヤーなど20 人以上。業界のプロに、黄ニラとパクチーを使用したフルコース8品が提供された。プロたちを唸らせた奥田マジックとは?

東京の夜景をバックに、岡山産黄ニラを使った料理を解説する奥田シェフ
東京の夜景をバックに、岡山産黄ニラを使った料理を解説する奥田シェフ

奥田シェフは次のようにコメントしている。

「岡山県の黄ニラ・パクチーは、それぞれ特徴があります。パクチーは、生産者の植田さんが『自家採取』にこだわり、香りがやさしくて、葉が柔らかい品種に育て上げました。
特に甘くて旨味の強い『パクチーの根っこ』は、私のスペシャリテに欠かせない食材のひとつです。黄ニラは、香りがやさしく濃厚な旨味があり、これだけで主役になります。イタリアンやフレンチなど、洋食でも広く使っていただける食材です」
黄ニラと春菊と牡蠣~グリッシーニと一緒に食べるヘルシーカツレツ~
黄ニラと春菊と牡蠣~グリッシーニと一緒に食べるヘルシーカツレツ~

フルコースは、「ズワイガニと『岡パク』と胡瓜のサラダ仕立て」からスタートした。「岡パク」とは、「岡山マイルドパクチー」の略称である。「岡パク」とバルサミコ醤油で合わせたヒラメのカルパッチョが続く。カニやヒラメは、日本海に面した庄内地方に本拠を置く、奥田シェフの手慣れた食材だろう。

「『黄ニラ』とアンディーブのサラダとさわやか健味鶏の塩麹マリネ」、「『黄ニラ』と春菊と牡蠣~グリッシーニと一緒に食べるヘルシーカツレツ~」と、「黄ニラ」を使用したイタリアンのメニューが続々と登場する。グリッシーニはクラッカーのような食感のスティック状の細長いパンのこと。

黄ニラと黄菊と黄色トマトのスパゲッティーニ~黄色の波長。色の法則のペペロンチーノ~
黄ニラと黄菊と黄色トマトのスパゲッティーニ~黄色の波長。色の法則のペペロンチーノ~

魚のメイン料理として、「『黄ニラ』の自家製ピクルスと舌平目のムニエル」が登場。さらに「『黄ニラ』と黄菊と黄色トマトのスパゲッティーニ~黄色の波長。色の法則のペペロンチーノ~」というパスタを味わうと、もう気分はすっかりイタリアン。皿の上に広がる黄色がなんともまぶしい。心の底からゆったりとくつろげる奥田ワールド全開である。

肉料理のメインは、「『岡パクの根っこ』と黒毛和牛リブロースのタリアータ」、パクチーの根なども余すことなくイタリアンのメニューの一品として饗され、パクチーの新たなポテンシャルが開拓されている。タリアータは、野菜を添えた薄切りのステーキのこと。ルッコラなどイタリア野菜の代わりに「岡パク」を使ったところが、奥田シェフならではの真骨頂と言える。

今日の「岡パク」ドルチェは、「岡パク」とだだちゃ豆を包んだ求肥とパンナコッタだった。

今日の岡パク・ドルチェ~岡パクとだだちゃ豆を包んだ求肥とパンナコッタ~
今日の岡パク・ドルチェ~岡パクとだだちゃ豆を包んだ求肥とパンナコッタ~

奥田シェフの経歴をかんたんに紹介すると、1969 年山形県鶴岡市生まれ、鶴岡の高校を卒業後、東京にてイタリア料理、フランス料理、フランス菓子とイタリアンジェラートを修行。25 歳で帰郷し、ホテルの料理長や農家レストランを経験した後、2000 年3 月、地元食材で作るイタリア料理の店「アル・ケッチァーノ」をオープンした。

たちまち地元の人気店となり、評判が評判を呼ぶ。その名声は全国に広がり、2009 年4 月、山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」2 階に「ヤマガタサンダンデロ」をオープンした。その独創性に富んだ料理は、国内のみならず海外でも高い評価を得ている。

岡山の黄ニラ生産地を視察する奥田シェフ(右)
岡山の黄ニラ生産地を視察する奥田シェフ(右)

実はこの試食会は、「岡山県黄ニラ・パクチー生産者支援プロジェクト」の一環だ。2018年、豪雨によって大きな被害を受け、壊滅状態となった生産者を支援しようという「HASHIWATASHI プロジェクト」が行ったもの。

19年1月には、被災した岡山県の生産者を奥田シェフ自ら訪問。生産者から現状のヒアリングや、回復した黄ニラ・パクチーの畑を視察した上で、メニューを発案した。今回のイタリアンへの提案が、新たな市場の掘り起しにつながることが期待されている。

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