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「広島に恩返しをしたい」 シェフの思いが生んだ、倉橋島の新名物「お宝フリット」

松葉 純一

松葉 純一

2019.02.15 12:00
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倉橋島の復興のきっかけとなる、新名物料理を創りたい

樫村シェフの懇切丁寧な指導は、倉橋島の人々の心をがっちりつかんだ(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)
樫村シェフの懇切丁寧な指導は、倉橋島の人々の心をがっちりつかんだ(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)

冒頭の「倉橋島お宝フリット」の食材はというと、地元で捕れた新鮮な魚介(白サメ、ボチ、カナガシラ、イシモチ、コショウダイ、牡蠣、赤エビ、シリヤケイカなど)だ。さすが瀬戸内海ならではの豊富な魚介類だ。これにブランド野菜である「お宝とまと」など、地元の野菜が加わる。それらのフリットに倉橋島産レモンの酸味を利かせた特製タルタルソースを添えて提供するというものだ。

この「倉橋島お宝フリット」を開発したのは、樫村仁尊シェフだ。人気イタリアンレストラン「アクアパッツァ」のグループ店「マンジャペッシェ(広島市)」の料理長を務めた経験を持つ。2016年に東京・代官山の「falo」シェフに就任し、炉端焼きをメインに据えるという独創的なカジュアル・スタイルのイタリア料理を提案し、注目を集めている。

東京の人気イタリアンレストラン「アクアパッツァ」で腕を磨いた樫村シェフの手際の良さに目を見張る(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)
東京の人気イタリアンレストラン「アクアパッツァ」で腕を磨いた樫村シェフの手際の良さに目を見張る(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)

樫村シェフは、広島に恩返しをしたいとの想いから、プロジェクトのプロデューサーを引き受け、新郷土料理の開発に取り組んだという。料理の狙いと手順について、樫村シェフは次のようにコメントしている。

難しい料理にしてしまうと親しみがなくなってしまうため、家庭にも取り入れやすい手軽なフリットを採用しました。
衣に倉橋島産のちりめんじゃこのパウダーを入れることで旨味も増して適度な塩分も加わり、風味も豊かになります。衣はアレンジ可能で、例えば、粉チーズを入れるとマイルドな味わいになるため、お子様でも食べやすくなります。
また、特製タルタルソースには、倉橋島産レモンの果汁やすりおろした皮など、レモンを贅沢に使用することで、フリットをさっぱりとお召し上がりいただけます。
樫村シェフは、倉橋島のトマト、ネギ、ちりめんじゃこ、牡蠣などの生産者を視察した(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)
樫村シェフは、倉橋島のトマト、ネギ、ちりめんじゃこ、牡蠣などの生産者を視察した(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)

今回の調理講習会には、倉橋町の飲食店や漁師、農家、生活改善推進員のメンバーなど約50人が参加した。樫村シェフの指導の下、プロの調理方法を学び、参加者同士の交流を深めたという。倉橋島の飲食店の一部では、19年4月から「倉橋島お宝フリット」の提供を開始し、地域の活性化を目指す予定だ。

この調理講習会、実は、経済産業省による「HASHIWATASHIプロジェクト」プロデュース支援事業の一つ。倉橋町では、18年7月豪雨により土砂災害が発生、交通遮断や断水の影響で7・8月は旅館のキャンセルが相次いだ。

倉橋町の地域振興に取り組む「倉橋交流拠点構想推進協議会」は、倉橋の新名物を作り、それをきっかけに倉橋の魅力を世界に発信していこうと、活動を続けている。「倉橋島お宝フリット」はそのきっかけの一つになるに違いない。

樫村シェフを囲む、調理講習会の参加者たち(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)
樫村シェフを囲む、調理講習会の参加者たち(画像提供:「HASHIWATASHIプロジェクト」事務局)

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